C-1 トレーダー (航空機)

C-1 トレーダー

C-1トレーダーは、1950年代にグラマン社によって開発されたアメリカ海軍の艦上輸送機です。この機体は、主に航空母艦への補給物資の輸送を担うために設計され、商人を意味する「トレーダー」という愛称が付けられています。艦上輸送機（COD）として、戦場における物資の迅速な配送を実現しました。

開発の経緯

1950年代初頭、アメリカ海軍は、対潜哨戒機としての役割を果たすS-2型機（トラッカー）の開発を進めていました。このS-2は、艦上機としては大型であり、他の用途にも転用しやすい特性を持っていました。1951年の12月、グラマン社はこの機体を改造した艦上輸送機を海軍に提案しました。当時、海軍はAD-5Rを使用していましたが、その貨物搭載量は限られており、運用に困難を抱えていました。

これを受けて海軍は、45機をTF-1という名称で発注しました。そして、1952年1月19日に初飛行が行われ、最終的には累計87機が生産され、1962年に公式にC-1Aと改称されました。

機体の構造

C-1の機体は、主にS-2F-2と同様のデザインを維持しつつ、輸送用に胴体が再設計されています。高翼配置の主翼には二基のレシプロエンジンが搭載されており、機体全体は空母の甲板に収納できるよう折り畳むことができます。大型の貨物ドアを装備していないため、積載時には制限がありますが、最大で約1.6トンの貨物を搭載可能で、最大9人の乗員を輸送することもできます。

運用の歴史

C-1Aは、ベトナム戦争の期間中、洋上の航空母艦への物資補給で重要な役割を果たしました。1965年には後継機のC-2の生産が進みましたが、改エセックス級航空母艦においてC-2が運用困難な状況があったため、C-1Aは1980年代後半まで現役で活躍を続けました。この機体は、1988年9月に退役するまで、その使命を全うしました。

さらに、ブラジル海軍は一定の技術的改良を施した8機のC-1Aを、中古機として購入し、運用する計画をしています。これらの機体は、TPE331ターボプロップエンジンに換装され、電子機器の近代化が行われたうえで、2018年12月に就役する予定です。この改修によって、C-1Aは「ターボ・トレーダー」としての新たな役割を得ることになります。

機体要目

• - 全長: 12.80m
• - 全幅: 21.23m
• - 全高: 4.97m
• - エンジン: ライト R-1820-82 レシプロエンジン（1,525馬力）2基
• - 最大速度: 462 km/h（M0.38）
• - 乗員: 2名
• - 搭載量: 1.6トンまたは乗員9名

派生型

• - C-1A: 旧呼称TF-1。量産型として87機が製造される。
• - EC-1A: 電子偵察・妨害型。4機の改修機が1957年から配備。
• - TF-1W: 空力試験機としての役割を持ち、WF-2（E-1）早期警戒機の開発に寄与。

これらの情報から、C-1トレーダーはアメリカ海軍にとって重要な役割を果たした艦上輸送機でありました。

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