CANDIES BEATS

『CANDIES BEATS』は、1989年に『CANDY POP POSSE』名義で発表された、日本の伝説的アイドルグループ、キャンディーズの楽曲をリミックスしたアルバムです。単なる懐古主義ではなく、当時の最先端技術とクリエイティビティによって、キャンディーズの音楽を再構築し、新たな魅力を引き出すことに成功しています。

制作の背景

制作の中心となったのは、当時PSY・Sのメンバーであった松浦雅也氏です。彼は、キャンディーズのレコードをリリースしていた音楽管理会社の倉庫からマスターテープを選び出し、新たにマスターを制作。そのマスターを元に、ロンドンの気鋭リミキサーたちにリミックスを依頼しました。松浦氏自身もリミックスを手がけています。

独立した作品としての扱い

興味深い点として、ソニー・ミュージックエンタテインメントのキャンディーズのディスコグラフィーには、本作の記載がありません。これは、『CANDY POP POSSE』の作品として独立した扱いを受けているためです。しかし、本作のアートワークには、キャンディーズのメンバーの写真やシングルのジャケットなどが使用されており、キャンディーズの作品であることを強く示唆しています。

豪華なリミキサー陣

リミキサーには、当時イギリスのR&Bユニット、ソウル・II・ソウルに在籍していたネリー・フーパー氏、屋敷豪太氏、J・ソウル・ケイン氏など、錚々たるメンバーが名を連ねています。また、ギターには鈴木賢司氏が参加し、サウンドに深みを与えています。

再発盤と収録曲

2006年10月25日には、ジャケット写真を差し替え、ボーナストラックを追加した再発盤(MHCL-710)がソニー・ミュージックダイレクトからリリースされました。この再発盤では、「危い土曜日」の表記が本来のものに修正されています。

収録曲は以下の通りです。

1. "THEME OF CANDIES BEATS"～DANGEROUS SATURDAY (危ない土曜日)
2. MY YOUNGER BOYFRIEND (年下の男の子)
3. SHY BOY (内気なあいつ)
4. MY SWEET LITTLE DEVIL (やさしい悪魔)
5. PRISONER OF LOVE (愛のとりこ)
6. SUMMER BREEZE (春一番)
7. SYMPHONY OF PATHOS (哀愁のシンフォニー)
8. DON'T TURN ME ON (その気にさせないで)
9. CANDIES BEATS (Extended Version)
10. 春一番 from "春の歌 Sisters Sing Spring" （2006年盤のみ収録）

"THEME OF CANDIES BEATS"はイントロ的なインストゥルメンタルで、CANDIES BEATS (Extended Version)は、『年下の男の子』～『危ない土曜日』～『やさしい悪魔』～『内気なあいつ』のメドレーとなっています。

ネリー・フーパー氏に関するエピソード

本作のライナーノーツには、ネリー・フーパー氏の紹介として「あのマドンナからも声がかかっている」という記述があります。実際にフーパー氏がマドンナを手がけることになるのは、本作の5年後にリリースされたアルバム『ベッドタイム・ストーリーズ』でした。このエピソードからも、当時からフーパー氏が音楽業界で注目されていたことが伺えます。

『CANDIES BEATS』は、単なるリミックス・アルバムという枠を超え、キャンディーズの音楽を新たな世代に伝える架け橋となる作品です。当時を知るファンはもちろん、初めてキャンディーズの音楽に触れる若い世代にも、その魅力が十分に伝わるはずです。

もう一度検索