CARMENES

CARMENES (カルメネス) とは

CARMENES（Calar Alto high-Resolution search for M dwarfs with Exoearths with Near-infrared and optical Echelle Spectrographs）は、[スペイン]]のカラル・アルト天文台]にある3.5メートル望遠鏡に搭載された観測装置です。この装置は、[[可視光線から近赤外線までの広い波長範囲をカバーする高分解能分光器であり、太陽系外惑星、特に赤色矮星の周りを公転する惑星の研究に重要な役割を果たしています。

装置の特徴

CARMENESは、スペインとドイツの11の研究機関からなる国際的なコンソーシアムによって開発されました。その主な目的は、視線速度法（ドップラー分光法）を用いて太陽系外惑星を検出・特性評価することです。この装置は、エシェル回折格子を用いた高分解能分光器であり、極めて精密な測定を可能にするために、減圧された低温容器内に設置され、温度と気圧が厳密に制御されています。CAHA 3.5メートル望遠鏡のカセグレン焦点と光ファイバーで接続して使用されます。

CARMENESは、520ナノメートルの可視光から1710ナノメートルの近赤外線までのスペクトルを測定できます。この波長範囲は、赤色矮星の研究に最適なものとして選ばれました。装置に入射した光は、960ナノメートルを境に、短波長側（可視光チャンネル、VIS）と長波長側（近赤外チャンネル、NIR）の2つの独立した経路に分割されます。VISチャンネルには4k×4k画素のCCDセンサーが、NIRチャンネルには2k×2k画素のHgCdTe検出器がそれぞれ使用されています。波長カバー範囲はほぼ連続的ですが、NIRチャンネルには15ナノメートル以下のギャップが複数箇所に存在します。波長分解能は、VISチャンネルでR = 94,600、NIRチャンネルでR = 80,400と非常に高い値を示します。

視線速度の精度に関しては、VISチャンネルでは装置由来のジッターが秒速1.2メートル、光子限界や恒星由来のノイズを含めた値で秒速3.56メートルです。一方、NIRチャンネルではセンサーの不調により、装置由来が秒速3.7メートル、他の要因を考慮すると秒速8.4メートル程度となっています。

研究成果

CARMENESによる科学観測は、2016年1月1日に開始され、約300個の赤色矮星を対象としたサーベイが行われています。このサーベイの主な目的は、視線速度法を用いて太陽系外惑星を検出することであり、赤色矮星の活動性を理解することも含まれています。

また、CARMENESの観測データを基にした天体カタログとして、Carmencita（CARMENes Cool dwarf Information and daTa Archive）があります。このカタログには、太陽系近傍の約2000個の赤色矮星と、それらの観測データがまとめられています。SIMBADでは、Carmencitaカタログに基づく天体名が「Karmn」の略称で登録されています。

2017年10月には、CARMENESで視線速度を測定した最初の研究論文がarXivに投稿され、2018年2月に正式に出版されました。この研究では、VISチャンネルのデータを用いて、既知の7つの惑星系の天体暦を更新し、CARMENESのVISチャンネルが既存の分光器（HARPSやHIRES）に匹敵する精度を持っていることを示しました。

CARMENESは、太陽系外惑星研究における重要なツールとして、今後も数多くの発見に貢献していくことが期待されています。

参考文献

CARMENES公式サイト
CARMENES (@CARMENES_exopl) - X（旧Twitter）

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