CASIOPEA“SINGLE”COLLECTION

『CASIOPEA "SINGLE" COLLECTION』（カシオペア・シングル・コレクション）は、日本のフュージョン界を牽引してきたバンド、カシオペアが発表した、彼らのシングル楽曲を網羅した企画ベストアルバムです。この作品は、バンドがアルファレコードに所属していた1979年から1993年という活動初期から中期にあたる期間に発表された、アナログシングル6枚と、CDシングル1枚に含まれる全楽曲を収録しています。これらのシングルは、当時の日本の音楽シーンにおいて、フュージョンというジャンルを広く知らしめる役割も果たしました。

本作では、それらの貴重な音源が、オリジナルシングルとして発表された際の発売日順に配列されており、カシオペアのサウンドの変遷や、シングルとして世に問われた楽曲の系譜を一覧できる構成となっています。アルバムに収録されている全楽曲は、各シングルのA面、B面曲を網羅しており、文字通り「シングル集」として完全な形を目指しています。

特に注目すべきは、楽曲「ザ・ウィシュフル・スター (The Wishful Star)」が、この『CASIOPEA "SINGLE" COLLECTION』において、初めてアルバムという形態で収録された点です。それまでシングル盤でしか入手できなかったこの楽曲が、多くのリスナーにとって聴きやすい形で提供されることになったのは大きな意義があります。

このアルバムに収録されている楽曲群の演奏は、カシオペアを代表する卓越したプレイヤーたちによって支えられています。リーダーでありギタリストの野呂一生を中心に、キーボードの向谷実、そして時期によってバンドを支えたベーシストの櫻井哲夫、鳴瀬喜博、さらにドラマーの佐々木隆、神保彰、熊谷徳明といった錚々たるメンバーが、それぞれの時代におけるシングルのサウンドを形作っています。彼らのテクニカルでありながらもメロディアスな演奏は、日本のインストゥルメンタルミュージックにおける金字塔の一つと言えるでしょう。

このシングル・コレクションは、カシオペアの初期から中期にかけての活動をコンパクトにまとめた入門編としても、また熱心なファンにとってはシングル音源をまとめて聴くことができる便利なアイテムとしても価値のある一枚です。当時の貴重な音源が、現代において容易にアクセスできる形で提供されていることは、バンドの歴史を振り返る上で重要な意味を持ちます。

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