CD+G

CD+GとCD+EG：音楽にグラフィックをプラスした規格

CD+G（Compact Disc + Graphics）は、オーディオCDにグラフィック情報を追加できる規格です。CD-GやCD+Graphicsとも呼ばれ、1985年にRed Book規格の一部として制定されました。標準的なオーディオCDデータとは別に、低解像度の画像データを格納することで、楽曲の歌詞表示や簡単なアニメーションなどを実現しました。特にカラオケ機器で広く活用され、楽曲に合わせて歌詞を表示する機能に欠かせない存在でした。

CD+Gは、CDのデータ領域のうち、通常は使用されないサブコードチャンネル（チャンネルR～W）にグラフィック情報を記録します。これにより、音楽データの再生を妨げることなく、追加情報を表示することが可能です。その解像度は300×216ピクセル、16色（6ビット）と、現在の基準から見ると非常に低解像度ですが、当時の技術水準としては画期的なものでした。

CD+Gに対応した機器は多岐に渡ります。カラオケ機器のほか、NECのPCエンジンやPCエンジンDUO、セガサターン、メガCD、フィリップスのCD-i、3DO、Amiga CD32、Commodore CDTV、Atari Jaguar CDなど、多くのゲーム機やCD-ROMドライブがCD+Gフォーマットの再生をサポートしていました。さらに、2003年頃からは一部のDVDプレーヤーでもCD+Gの再生に対応する機種が登場しました。

CD+EG：CD+Gの進化形

CD+EG（Compact Disc + Extended Graphics）は、1991年にRed Book規格に追加されたCD+Gの後継規格です。CD-EG、CD+EG、CD+XGなどとも呼ばれます。CD+Gと同様に、音楽データとは別にテキストやビデオ情報を表示できますが、CD+Gよりも高解像度で、より多くの色数を表現できるのが特徴です。

CD+EGの仕様は、CD+Gに比べて向上しており、解像度は288×192ピクセル、256色を実現しました。しかし、CD+Gほどの普及には至らず、CD+EGに対応した機器やソフトウェアは限定的でした。そのため、CD+EGフォーマットのディスクは非常に少ないのが現状です。

技術仕様と歴史

CD+Gは、CDのサブコードチャンネルを利用することで、既存のCDプレイヤーに大きな変更を加えることなく、グラフィック機能を追加できる点が大きなメリットでした。しかし、解像度や色数の制限など、技術的な制約も存在しました。CD+EGはこれらの点を改善しようと試みられましたが、市場のニーズや技術革新のスピードに対応しきれず、広く普及するまでには至りませんでした。

CD+Gは、家庭用ゲーム機やカラオケ機器を中心に利用され、多くのユーザーに音楽と映像を同時に楽しめる体験を提供しました。その歴史は、デジタルメディア技術の発展と、市場の動向を反映する一つの事例として、重要な意味を持っています。

現在の状況と今後

現在、CD+GやCD+EGは、主流のメディアフォーマットとしては衰退しています。より高解像度で高機能なメディアフォーマットが普及したためです。しかし、レトロゲームやカラオケ愛好家の間では、これらのフォーマットを扱う機器やソフトウェアへの関心が根強く残っています。インターネット上には、CD+Gに関する情報や、対応機器の使用方法を紹介するウェブサイトなどが存在し、コミュニティが形成されています。

今後、CD+GやCD+EGが再び脚光を浴びる可能性は低いですが、デジタルメディアの歴史において、重要な役割を果たした規格であることは間違いありません。これらの規格は、音楽と映像を融合させた新しいメディア体験を先駆的に提示した、先進的な技術として記憶されるでしょう。

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