CEマーク

CEマークとは

CEマークは、EU（欧州連合）加盟国で販売される製品が、EUの定める安全、健康、環境保護に関する基準を満たしていることを示す適合マークです。製品にCEマークを表示することをCEマーキングといい、これは、製品がEUの法的要件に適合していることを証明するものです。

CEマーキングの概要

1993年に導入されたCEマーキング制度は、法的枠組みを改善しながら現在も運用されています。CEマークが付与された製品は、EU加盟27カ国とEFTA（欧州自由貿易連合）加盟4カ国、計31カ国で自由に流通・販売することが可能です。ただし、イギリスは2020年1月にEUを離脱したため、2021年9月現在、EU加盟国は27カ国となっています。

CEマーキングを行うためには、製品ごとに該当するEU指令を調査し、適合していることを証明する必要があります。例えば、電気を伴う産業機械の場合、「機械指令(2006/42/EC)」と「EMC指令(2014/30/EU)」の両方を満たす必要があります。また、AC 50V～1000V、DC 75V～1500Vで動作する電子機器は「低電圧指令(2014/35/EU)」の対象となります。製品ごとに適合すべきEU指令を確認し、すべての要求事項を満たすことで、初めてCEマーキングを行うことができます。適合証明は、第三者機関が関与するかどうかにかかわらず、製造者が全責任を負います。

CEマークの目的

CEマークの主な目的は以下の3点です。

1. EU域内での自由な流通: 各国ごとの異なる安全認証手続きを不要にし、製品の自由な流通・販売を可能にします。
2. 公平な競争の促進: 企業に共通のルールを課すことで、市場での公平な競争を促します。
3. 消費者保護: EU域内の消費者が、健康、安全、環境に関して同等の保護を享受できるようにします。

当初は安全基準が中心でしたが、現在は環境性能基準への適合も求められるようになっています。対象製品は、医療機器、産業機械、低電圧機器、計量器といった産業用製品から、玩具、ゲーム機、パソコン、携帯電話、照明器具、食品といった消費者用製品まで多岐にわたります。EU経済領域（EEA）やトルコ、スイスで販売する際には、CEマークの取得が必須となります。EU本部は、CEマークを製品の信頼性の証と捉えており、既存のEU各国の基準を調和させる象徴と位置づけています。

CEマークの由来

公式にはCEという単語自体に特に意味はなく、略語でもないとされています。しかし、フランス語の「Communauté Européenne（欧州共同体）」または「Conformité Européenne（ヨーロッパ適合）」に由来すると考えられています。CEマークの使用には、製品が所定の基準を満たしていることの証拠となる文書化が必要です。評価や文書化は企業が独自に行う場合と、外部の検査機関を利用する場合があります。

CEマークを必要とする国は主にEU諸国ですが、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインなどのヨーロッパ自由貿易連合（EFTA）加盟国、およびEUにもEFTAにも属さないトルコでも必要となります。マークのデザインは、アーサー・アイセンメンジャーによるものです。

CEマーキングの取得プロセス

CEマーキング適合対策の手続きは、以下の手順に沿って進められます。

1. 適用指令・規則の確認: 製品に適用される指令や規則を特定します。
2. 必須要求事項の確認: 適合性評価基準を選択し、必要な要求事項を確認します。
3. 第三者認証機関の必要性判断: 第三者認証機関（Notified Body：NB）による適合性評価が必要かどうかを判断します。
4. 製品試験・適合性評価: 製品試験を実施し、適合性を評価します（必要に応じて第三者認証機関による検査を行います）。自己宣言が認められる場合もあります。
5. 技術文書の作成: 必要な技術文書を作成します。
6. 適合宣言書の作成: 適合宣言書を作成します。
7. CEマークの表示: 製品にCEマークを表示します。

China Exportマークについて

一部の中国メーカーの製品には、CEマークに酷似したロゴが付いていることがあり、それは「China Export」の意味であるという説があります。2008年の欧州議会でこの問題が取り上げられましたが、欧州委員会は「“Chinese Export”というマークの存在は確認されていない」と回答しています。また、基準を満たさない製品に不適切にCEマークが付けられている問題や、正しい形状ではないCEマークが付いた製品が存在する問題も認識していますが、正式なマークとは無関係であると回答しています。欧州委員会は、CEマークを事業者が共通で利用できる商標として決定した際、中国当局と法規遵守について協議しており、「“Chinese Export”なるマークは存在しえない」と主張しています。