CFAフラン

CFAフラン：アフリカとフランスの複雑な経済関係

西アフリカと中央アフリカの多くの国々で利用されているCFAフランは、フランスとの歴史的・経済的結びつきを深く反映した通貨です。西アフリカ諸国中央銀行（BCEAO）と中部アフリカ諸国銀行（BEAC）によって発行される2種類のCFAフラン（XOFとXAF）は、価値は同一ですが、相互に流通することはありません。

1958年の導入当初はフランス・フランに固定レートで紐づけられましたが、1994年の構造調整計画に伴いレートが変更、その後はユーロに固定されています。このユーロへの固定レートは、1ユーロ＝655.957CFAフランに設定されています。

フランスとの経済的結びつきと批判

CFAフラン体制には、外貨準備高の50％をフランス国庫で保管しなければならないという規定があります。この規定は、フランスによる経済支配を強めるものとして、長年批判の的となってきました。アフリカ諸国は、自国の経済政策を自由に実行できないという不満を抱えています。

しかし、一方で、固定レートはCFAフラン利用国の通貨の安定性を保ち、フランスとの貿易を促進する効果も指摘されています。

共通通貨エコへの移行

2019年、西アフリカ諸国経済共同体（ECOWAS）は、2020年から共通通貨エコ（ECO）への移行を決定しました。西アフリカ諸国中央銀行が発行するCFAフランを使用する8カ国も、この移行に参加する予定でしたが、フランスの管理から独立することを条件としていました。2019年12月、両者は合意に至り、エコが開始されれば、CFAフランは中部アフリカ諸国銀行が発行する6カ国のみで使用されるようになります。

CFAフランを使用する国々

CFAフランを使用する国々は、主に旧フランス植民地です。

西アフリカ諸国中央銀行（BCEAO）発行: セネガル、ギニアビサウ、マリ共和国、コートジボワール、トーゴ、ベナン、ブルキナファソ、ニジェール

中部アフリカ諸国銀行（BEAC）発行: チャド、中央アフリカ共和国、カメルーン、赤道ギニア、ガボン、コンゴ共和国

さらに、コモロのコモロ・フランも、かつてフランス・フランに固定レートで紐づけられていたため、CFAフランに含めることがあるとされています。

セネガルでは、CFAフランに加え、ウォロフ語の単位であるデュルムも使用されています。1デュルムは5CFAフランに相当し、主に市場での少額取引で使用されます。

中央アフリカ共和国は2022年4月、ビットコインを法定通貨に加える法案を可決しました。

CFAフランの歴史

いくつかの国々は、過去にCFAフラン以外の独自の通貨を使用していました。例えば、マリ共和国は1962年から1984年までマリ・フランを使用していました。また、ギニア、マダガスカル、モーリタニアなども、独自の通貨に移行しています。

CFAフランに対する評価

CFAフランはユーロに固定されているため、アフリカ諸国の経済政策の自由度が制限されているという批判があります。しかし、一方で、通貨の安定性やフランスとの貿易促進効果も認められています。欧州連合による評価でも、マクロ経済の安定性には貢献していると認めつつも、通貨統合による恩恵は限定的であると結論付けています。

CFAフランの未来は、エコの導入によって大きく変化する可能性があります。フランスからの経済的依存からの脱却を目指すアフリカ諸国の動きと、安定した通貨体制を維持しようとする思惑が、今後のCFAフランの運命を左右するでしょう。

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