COLD FAREWELL

『COLD FAREWELL』（コールド・フェアウェル）は、中島みゆきがmiss M.名義でカナダでのみ発売された特別なベスト・アルバムです。このアルバムは、中島みゆきの楽曲がカナダの音楽市場に向けて編集されたもので、彼女の音楽性を新たな角度から紹介することを意図しています。

アルバム名義がMiyuki Nakajimaではなく、miss M.となっているのは、カナダのレコード会社の意向が反映された結果です。レコード会社は、「ミユキ・ナカジマ」という東洋的な名前にこだわる必要はないと考え、より多くのリスナーに受け入れられやすいように名義を変更しました。この変更は、中島みゆきの音楽を広く海外に広めるための戦略的な判断だったと言えるでしょう。

収録曲は、12枚目のアルバム『御色なおし』からの楽曲が中心に選ばれています。この選曲は、『御色なおし』が持つ多様な音楽性と、中島みゆきのシンガーソングライターとしての才能をカナダのリスナーに伝えるのに適していると判断されたためでしょう。また、アルバムジャケットには、10枚目のアルバム『予感』の別カットが使用されており、視覚的にも中島みゆきの過去の作品との繋がりを感じさせます。

収録曲について、さらに詳しく見ていきましょう。

CAMOFLAGE (カム・フラージュ)：アルバム『御色なおし』に収録されており、1983年に柏原芳恵に提供された楽曲です。
LET ME DANCE ALONE (ひとりぽっちで踊らせて)：同じく『御色なおし』に収録され、1979年に研ナオコに提供された楽曲です。
LONELY FACE (孤独の肖像)：シングル「孤独の肖像」に収録されています。
CYNICAL MOON (シニカル・ムーン)：アルバム『はじめまして』に収録。
THE SEA AND THE JEWELS (海と宝石)：『御色なおし』に収録。1983年松坂慶子の提供曲。
COLD FAREWELL (つめたい別れ)：シングル「つめたい別れ」のアルバムバージョン。このアルバムのために独自のエディットが施されており、イントロの後、1番がカットされ、2番の歌い出しからリフの終わりの部分までが収録されています。スティーヴィー・ワンダーがハーモニカで参加していますが、クレジットされていません。ラストのソロは完全にカットされています。
CHILD AS INNOCENT AS MOON (月の赤ん坊)：アルバム『miss M.』に収録。
BAD GIRL (悪女)：シングル「悪女」としてリリースされた代表曲。
SPARROW (すずめ)：『御色なおし』に収録。1981年増田けい子の提供曲。
FAREWELL CHIMES (さよならの鐘)：『御色なおし』に収録。1978年グラシェラ・スサーナの提供曲。

特に注目すべきは、「COLD FAREWELL (つめたい別れ)」です。この楽曲は、シングルとは異なるエディットが施されており、スティーヴィー・ワンダーがハーモニカで参加しているにもかかわらず、クレジットされていないという興味深いエピソードがあります。これは、楽曲の構成やアルバム全体のバランスを考慮した結果であると考えられます。

『COLD FAREWELL』は、中島みゆきの音楽をカナダのリスナーに紹介するために、様々な工夫が凝らされたアルバムです。miss M.名義でのリリースや、収録曲の選曲、独自のエディットなど、その全てが中島みゆきの音楽を新たなリスナーに届けるための試みと言えるでしょう。

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