COSMETS

COSMETS（コスメッツ）とは

COSMETS（Computer System for Meteorological Services）は、気象庁が運用する気象資料総合システムであり、気象観測データの解析と予測を目的としたシステムです。このシステムは、ADESS（気象資料自動編集中継装置）とNAPS（数値解析予報システム）という二つの主要な部分に分かれています。

システムの構成

ADESS (Automated Data Editing and Switching System)

ADESSは、気象観測データを自動的に編集し、中継する役割を担っています。具体的には、全国の観測データや国際的な気象データを集約し、必要な形式に変換してNAPSに送る役割を担います。COSMETSの一部となるADESSはC-ADESSと呼ばれ、全国のデータの集配信や国際通信の中核となっています。一方、各管区気象台が対応するL-ADESSはCOSMETSの一部ではありません。

NAPS (Numerical Analysis and Prediction System)

NAPSは、数値解析に基づいた気象予測を行うシステムです。集められた観測データをもとに、数値モデルを用いて将来の気象状況を予測します。このシステムは、スーパーコンピュータを使用して高度な計算を行い、精度の高い予測を可能にしています。

歴史

システムの統合

当初、ADESSと数値演算予報部分は別々に扱われていましたが、1980年代に統合され、COSMETSとして一括で呼ばれるようになりました。これにより、データ処理と予測計算がスムーズに連携し、より効率的なシステム運用が可能になりました。

NAPSの進化

NAPSは、技術の進歩とともに、何度も世代交代を繰り返してきました。以下は、各世代のNAPSの運用開始時期です。

1959年6月: 初代NAPS運用開始
1967年: 第2世代NAPS (NAPS2) 運用開始
1973年: 第3世代NAPS (NAPS3) 運用開始
1982年: 第4世代NAPS (NAPS4) 運用開始
1987年: 第5世代NAPS (NAPS5) 運用開始
1996年: 第6世代NAPS (NAPS6) 運用開始
2001年3月1日: 第7世代NAPS (NAPS7) 運用開始
2006年3月1日: 第8世代NAPS (NAPS8) 運用開始
2012年6月5日: 第9世代NAPS (NAPS9) 運用開始
2018年6月5日: 第10世代NAPS (NAPS10) 運用開始
2023年3月1日: 第11世代NAPS (NAPS11) の一部（線状降水帯予測スーパーコンピュータ）運用開始
2024年3月5日（予定）: 第11世代NAPS (NAPS11) 全体運用開始

ADESSの変遷

当初、ADESSは東芝のメインフレームを使用していましたが、東芝がメインフレーム事業から撤退したため、日本電気に移行しました。日本電気では、ACOS-6シリーズ、ACOS-4シリーズ、MSシリーズ、UNIXサーバ (UP4800, UX/4800) が使用されました。2005年の更新では、C-ADESSとL-ADESSが統合され、東西2つのシステムに再構成されました。また、ベンダもNECから富士通に切り替えられ、システムはUNIXサーバとPCサーバベースに変更されました。

NAPSの変遷

NAPSは当初、メインフレームで構成されていましたが、その後スーパーコンピュータに置き換えられました。1988年には日立製作所のSRシリーズが導入され、その後もSRシリーズで更新されました。1992年の更新では、システムの電力容量が問題となり、COSMETSのコアシステムは清瀬の気象衛星センターに移設されました。2001年には、当時最新のSR8000が導入され、予測時間が3時間から6時間に倍増しました。2006年にはSR11000、2012年にはSR16000/M1、そして2018年にはCray XC50が導入されました。

システムの意義

COSMETSは、気象庁の中核システムとして、日々の天気予報や防災情報の発信に不可欠です。その高度な計算能力とデータ処理能力は、気象予測の精度向上に大きく貢献しています。

関連情報

* 数値予報

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