CROSS POINT

Cross Point (カシオペア)

『Cross Point』（クロス・ポイント）は、日本の代表的なフュージョンバンドであるカシオペアがリリースした、記念すべき通算6作目のスタジオ・アルバムです。明確なリリース年の記載はありませんが、アートワーククレジットから1981年に発表された作品であると推測されます。本作は、当時の最先端の音楽技術や楽器を取り入れた意欲的なサウンドで、バンドのキャリアの中でも特に重要な位置を占めるアルバムの一つとして、多くのファンに記憶されています。

参加ミュージシャン

本作のレコーディングには、カシオペアの当時の不動のラインナップが集結しています。各メンバーは、その卓越した演奏技術に加え、時代を象徴する様々な楽器を駆使し、サウンドに厚みと色彩を与えています。

野呂一生 (Issei Noro): エレクトリックギター全般を担当。愛用のYAMAHA SG-2000やSG-1000に加え、フレットレス仕様のSG-1000を使用し、独特の表現力を発揮しています。さらに、KORG製のギターシンセサイザーや、当時の黎明期であったLinn Drum Computerといった最新機材を導入し、サウンドメイクの幅を広げています。また、アルバム全体の編曲も手掛け、音楽的な方向性を決定づける役割を果たしました。
向谷実 (Minoru Mukaiya): キーボードを担当。Fender Rhodes、YAMAHA CP-80、GS-1、CS-30、KORG 800DV、Trident、Mini Moog、Prophet-10、Roland Jupiter-8、Acoustic Pianoと、多岐にわたるヴィンテージから当時の最新シンセサイザーまでを使い分け、楽曲に豊かなテクスチャーと複雑なハーモニーをもたらしています。
櫻井哲夫 (Tetsuo Sakurai): ベースを担当。主にYAMAHA BB-2000を使用し、そのダイナミックかつ正確無比なベースラインでバンドのボトムを支えています。また、このアルバムのライナーノーツも彼が執筆しています。
神保彰 (Akira Jimbo): ドラムとパーカッションを担当。YAMAHA YD-9000Rシリーズのドラムセットを叩き、そのテクニカルかつグルーヴィーなドラミングでバンドのリズムセクションを牽引しています。

加えて、シンセサイザー・プログラミングには浦田恵司氏が参加しており、当時の電子楽器の可能性を最大限に引き出すことに貢献しています。

制作スタッフ

本作の制作には、経験豊富な国内外のプロデューサーやエンジニアが多数関わっています。彼らの手腕が、カシオペアの音楽をより洗練されたサウンドへと昇華させました。

プロデューサー: 宮住俊介
コ・プロデューサー: ハーヴィー・メイソン (Harvey Mason)
アソシエート・プロデューサー: 中尾敏治 (Satoshi Nakao)
エグゼクティブ・プロデューサー: 川添象郎

レコーディングとミキシングは、エンジニアの吉沢典夫氏が担当し、アシスタント・エンジニアとして斎藤篤氏が携わっています。彼らの技術によって、クリアでパワフルなサウンドが実現しました。

アートワーク

アルバムの視覚的なイメージは、著名なデザイナーである井上嗣也氏がアート・ディレクションとデザインを手掛けています。さらに、イラストレーションはドイツのアーティスト、トーマス・バイルレ氏が担当しており、当時の斬新なアートワークがアルバムの音楽世界を表現しています。内部写真は杉原道彦氏が撮影し、コーディネーションは津久井利尚氏が行いました。

本作は、その音楽性だけでなく、制作に関わった錚々たるメンバーやスタッフ、そして印象的なアートワークといった多角的な要素が組み合わさることで、カシオペアのキャリアにおける重要なマイルストーンの一つとなっています。後年にはハイレゾ版を含めたリマスタリングや、度重なる再発が行われており、時代を超えて愛される作品としての地位を確立しています。

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