Cha 110913-773444

Cha 110913-773444

Cha 110913-773444は、カメレオン座の方向、地球から約520光年の距離に位置する惑星質量天体です。この天体は、ハッブル宇宙望遠鏡、セロ・トロロ汎米天文台のブランコ望遠鏡、そしてスピッツァー宇宙望遠鏡といった複数の強力な観測装置を用いて、2005年にペンシルベニア州立大学の研究チームによって発見されました。

この天体は、若い星が多数存在するカメレオン座分子雲の一部であるカメレオン座Iに含まれている可能性が高いと考えられています。そのため、地球からの距離はカメレオン座Iまでの距離であるおよそ160パーセク、光年換算で約520光年程度と推定されています。

ジェミニ南望遠鏡による詳細な分光観測の結果、Cha 110913-773444の物理的な性質が見積もられています。その質量は木星の約8倍、半径は木星の約1.8倍と推定されています。天体の分類において、木星の約13倍の質量は褐色矮星と惑星を分ける境界とされていますが、Cha 110913-773444の質量はこの境界を下回ります。

しかし、興味深いことに、観測されたスペクトルなどのデータは、OTS 44のような他の低質量褐色矮星の特性と類似している点も指摘されています。このような理由から、Cha 110913-773444の明確な分類については天文学者の間でも定説がなく、「準褐色矮星」とも呼ばれる一方で、「自由浮遊惑星」、つまりどの恒星の周りも公転していない独立した惑星である可能性も示唆されており、様々な呼称で言及されています。

この天体の表面温度は約1,800ケルビン（K）と推定されており、スペクトル型はL0型に分類されています。さらに重要な特徴として、Cha 110913-773444からは、推定される表面温度やスペクトル型から予想されるよりも強い中間赤外線が観測されています。この余分な赤外線の放射は、天体の周囲にガスや塵からなる星周円盤が存在することの強い証拠と考えられています。

この星周円盤は、全体の質量が木星の約0.1倍、内径は約0.02天文単位（AU）程度であると見積もられています。このような円盤の存在は、Cha 110913-773444のような低質量の天体においても、惑星系形成の材料となる物質が存在しうることを示唆しており、惑星や褐色矮星の形成メカニズムを理解する上で、非常に興味深い研究対象となっています。

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