Cynthia Memories

Cynthia Memories（シンシア・メモリーズ）

『Cynthia Memories』（シンシア・メモリーズ）は、日本の歌手、南沙織が1994年5月1日にソニー・ミュージックより通信販売限定で発売した6枚組CD-BOXです。彼女のキャリアの中でも特に充実していた1970年代の音源を中心に、合計107曲が収められています。

パッケージと構成

本ボックスセットは、CD6枚をまとめて収納できる特製のボックスに収められています。各ディスクはそれぞれ独立したプラスチックケースに入っており、それぞれのジャケットには異なるカラー写真がデザインされています。

歌詞は、全6枚のディスク分がA4サイズの別冊歌詞本に一括して掲載されています。このブックレットは、巻頭の数ページが写真家・篠山紀信が監修した美しいカラー写真集となっており、視覚的にも楽しむことができます。後半のページには、南沙織がこれまでに発表した全シングルのジャケット写真が一覧で掲載されています。ただし、18枚目のシングルに関しては、発売時期によってA面収録曲とそれに伴うジャケットデザインが変更されていますが、このブックレットには初版のジャケット写真のみが掲載されています。

収録楽曲の特徴

Disc 1からDisc 5にかけては、主に1970年代にスタジオでレコーディングされた音源の中から選曲されています。南沙織は洋楽・邦楽問わず多くのカバー曲を歌唱していますが、このボックスセットでは彼女のオリジナル楽曲を中心に構成されており、シングルA面・B面に収録された「カリフォルニアの青い空／雨に消えた初恋」と「Good-bye Girl」以外のカバー曲は収録されていません。また、1990年代以降に発表された楽曲も含まれていません。

Disc 6は、「さよならコンサート・ハイライト + 1」と題され、1978年に開催された「さよならコンサート」でのライブ音源が収録されています。タイトルの「+ 1」は、「Good-bye Girl」の英語バージョンを指しており、これはライブバージョンではなく、スタジオで録音された音源が収録されています。

特筆すべき収録内容

このボックスセットの最大の特長は、1971年のデビューシングル「17才」から1978年のラストシングル「グッバイガール」までの全28枚のシングル盤に収録されたA面曲、B面曲が、全て網羅されている点です。これは、南沙織のシングルコレクションとして非常に価値の高い構成となっています。

ただし、例外として「哀愁のページ」については、シングルとして発表されたバージョンではなく、アルバム『早春のハーモニー』に収められた、いわゆる「早春バージョン」が収録されています。このアルバムバージョンは、ボーカルが新たに録音されているほか、イントロ部分に含まれる英語のセリフもシングルバージョンとは異なります。しかし、別冊歌詞本に記載されている「哀愁のページ」の歌詞は、シングルバージョンのものとなっています。

このように、『Cynthia Memories』は、南沙織の活動初期から引退までのシングル曲を完全に網羅しつつ、1970年代の代表的なオリジナル楽曲、そして貴重なライブ音源を含む、ファンにとって非常に価値の高いコンピレーションとなっています。

（収録楽曲、関連作品、脚注については、本稿では割愛します。）

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