D3-VTR

D3-VTRは、D2-VTRと同様のコンポジットデジタルビデオ信号を、1/2インチカセットテープに非圧縮で記録するビデオテープレコーダーです。D2-VTRの1/2インチカセット版、またはD5-VTRのコンポジット版と表現することもできます。

1991年に、日本放送協会（NHK）と松下電器産業（現パナソニック）が共同で開発し、市場に投入されました。この規格は、MIIの後継規格としての位置づけであり、放送業界におけるデジタルビデオ記録の進化を象徴するものでした。

D3-VTRは、主にNHKや放送大学などの番組制作や番組送出の現場で使用されました。しかし、ソニーがDigital BETACAMのリリースを早期に予告していたこともあり、民放での採用はほとんど進みませんでした。これは、放送業界における規格競争と、各メーカーの戦略が影響した結果と言えるでしょう。

D3-VTRの大きな功績の一つとして、1992年に開催されたバルセロナオリンピックにおいて公式記録用として採用されたことが挙げられます。この際、松下電器産業は機材を提供し、オリンピックの映像記録に貢献しました。しかし、D3-VTRのヘッドシリンダーが毎分9,000回転という高速回転を行うために発生する騒音は、撮影現場のカメラマンからは不評だったというエピソードも残っています。

D3-VTRは、その技術的な特徴と放送業界での役割から、デジタルビデオ技術の発展において重要な役割を果たしました。しかし、その後の技術革新と市場の変化により、他の規格にその地位を譲ることとなりました。関連規格としては、以下のものがあります。

ITU-R601
D1-VTR
D2-VTR
D5-VTR
Digital BETACAM
BETACAM-SX
M規格
MII
DVCAM
HDCAM
DVCPRO
P2
D-[[VHS]]
W-VHS

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