DESTINY+

DESTINY+（デスティニー・プラス）

DESTINY+は、宇宙航空研究開発機構（JAXA）および宇宙科学研究所（ISAS）によって推進される深宇宙探査のための技術実験ミッションです。このプロジェクトには、小型科学探査機および工学実験機が含まれ、ISASの公募型小型計画2号機に選ばれました。日本電気が開発・製造を担当しており、宇宙探査の新しい可能性を探る重要なミッションとして位置づけられています。

概要

DESTINYの初期名称である「Demonstration and Experiment of Space Technology for INterplanetary voYage」は、2013年9月に打ち上げられたひさき（SPRINT-A）、および2016年12月に打ち上げられたジオスペース探査衛星あらせ（ERG）に続く小型科学衛星の3号機として企画されました。当初はイプシロンロケットでの打ち上げを目指しており、2014年には次期小型科学衛星の公募に出した結果、7件の応募から本プロジェクトと別の小型探査機が候補として選定されました。

2015年には、ISASがSLIMを最終候補に選定し、DESTINYは以降の選定を予定していましたが、その後、DESTINY+として新たに公募型小型2号機に選ばれ、2021年度の打ち上げを目指して研究が進められました。しかし、様々な事情により、打ち上げが2024年度へと延期されることとなりました。

ミッション

DESTINY+のミッションは、将来の深宇宙探査に不可欠な先進技術の実験と実証を目的としています。このミッションを通じ、小型で高性能の深宇宙探査機が実現されることが期待されています。具体的な技術的要素としては、イプシロンロケットによる高エネルギー軌道投入のほか、薄膜軽量太陽電池パネル、大型イオンエンジン、先進的な熱制御技術、イオンエンジンを駆使した自律的な運用、そしてハロー軌道の制御技術が含まれます。

DESTINY+では、アポロ群のファエトンと呼ばれる小惑星をフライバイする計画が立てられており、旧DESTINYの計画に基づいて地球を周回しつつイオンエンジンで加速し、月スイングバイを経てL2ハロー軌道への投入を行う方向性が示唆されています。

工学実証

このミッションには二つの主な工学目的があります。一つは、電気推進技術の発展を目指し、その利用範囲を広げること。二つ目は、先進的なフライバイ探査技術を身に付け、より多くの小天体探査の機会を創出することです。

理学ミッション

DESTINY+では、小惑星ファエトンのフライバイ中にその場で放出されたガスの分析や、高解像度カメラによる撮影が行われます。これにより、太陽からの加熱が小天体の成長や進化にどのように影響を与えるかを観測します。また、ファエトンはふたご座流星群の母天体であり、彗星と小惑星の中間的な存在と考えられています。

加えて、オプションとして小型の子機を分離し、小惑星の近接フライバイも検討されています。この子機は、はやぶさ2に搭載されたPROCYONを軽量化したもので、DESTINY+の母機が危険にさらされることなく近くで観測が可能になる利点があります。もしこの近接フライバイが実現すれば、深宇宙でのランデブーやドッキングにおける画期的な業績となり得ます。

機体と協力機関

衛星本体には、SPRINTシリーズで使われているNEXTARが採用される見込みです。メインスラスタは、はやぶさ2で使用されたμ10を改良した型で計画されており、推力の調整がなされる予定です。

また、研究機関として千葉工業大学、名古屋大学、ドイツ航空宇宙センターおよびシュトゥットガルト大学が関与し、それぞれが特定の技術開発を担当しています。

このように、DESTINY+は日本の宇宙探査の最前線を担うプロジェクトとして注目されています。

もう一度検索