DR-DOS
DR-DOSとは
DR-DOSは、ゲイリー・キルドールが率いるデジタルリサーチ社が開発した、IBM PC/AT互換機向けのオペレーティングシステムです。これは、同社の前身であるCP/M-86|CP_M-86の後継OSとしての位置づけも持っています。
概要
DR-DOS（当初はDR DOSという名称）は、デジタルリサーチの最新OSとして登場しました。歴史的には、CP/M-86|CP_M-86のMS-DOS互換機能である「DOS Plus」の延長線上にあります。
MS-DOS 3.31との互換性を目指して開発され、Compaqなどのメーカーで広く採用されました。内部バージョンは3.3相当ですが、ファイルシステムはバージョン4と互換性を持っています。この特徴は、MS-DOS/PC DOSとの明確な違いとして現在も維持されています。
初期バージョンからROMやフラッシュメモリからの起動に対応しており、バージョン5ではタスクスイッチャー、バージョン7ではDPMIメモリ管理によるプリエンプティブマルチタスクをサポートするなど、他のDOSと比較して高度な機能を持つことが特徴です。
販売元と名称の変遷
DR-DOSは、その販売元と名称にいくつかの変遷があります。
デジタルリサーチが販売していた時代（バージョン3.31～6.0）の正式名称はハイフンなしのDR DOSでしたが、外部コマンドやドキュメントではDR-DOSとDR DOSの双方が混在していました。
1991年にデジタルリサーチがノベルと合併した後、しばらくはNovell DR DOS 6として販売されました。1994年には、バージョン7がNovell DOS 7としてリリースされましたが、この際もNW-DOSという名称が使われることがありました。これは一部のコマンドがNWで始まっていたことが理由と考えられます。
1996年にカルデラにDOSの権利が移り、1997年にはOpenDOS 7.01としてリリースされました。その後、カルデラはバージョン7.02をDR Open DOSとして、バージョン7.03をDR-DOSとしてリリースしました。
Lineo時代には再びDR DOSという名称が使われ、現在のDRDOS, IncでもDR DOSと表記されています。
本稿では、それぞれの時代の呼称に合わせて、DR DOS、Novell DOS、OpenDOS、DR-DOSと記述します。
現在のバージョンと開発状況
OpenDOS 7.01のリリース時に、そのカーネルのソースコードがオープンソースとして公開されました。このソースコードを基に、現在でもUdo Kuhnt氏を中心としたDR-DOS/OpenDOS拡張プロジェクト（通称Udo's Patch）が開発を続けています。ただし、このプロジェクトの成果物はカーネルを中心とする一部であり、DOSとして使用するにはDR DOS 7.03が必要となります。
DR DOSの権利は、Caldera Thin Clients（後のLineo社）を経てDRDOS, Incに移転し、現在では組み込みシステム用途として販売されています。2004年3月30日にDRDOS, IncからリリースされたDR DOS 8.0では、FAT32と2GB以上のラージディスクがサポートされています。
DR DOS 8.1は2005年秋にリリースされましたが、後にバージョン7.03に戻されることになりました。
DR DOS 8.1の問題
DR DOS 8.1は、前バージョンであるDR DOS 8.0とは全く異なるものでした。具体的には、Caldera DR-DOS 7.03をベースとしたEnhanced DR-DOSのUdo Kuhnt氏のクレジットなどが書き換えられたものでした。
この問題は、2005年10月に、DRDOS, IncのDR DOS 8.1に含まれるアプリケーションの一部に、FreeDOS由来のSYS v2.6とFDXXMS v.92のGPL違反が含まれていること、およびEnhanced DR-DOSなどのフリーソフトウェアやシェアウェアが無許可で収録されていたことが発覚したことから表面化しました。
この問題により、DR-DOS 8.1の販売は中止されました。
関連情報
- - GEM: DR-DOS向けのGUI環境です。
- - DR-WebSpyder: DR-DOS向けのウェブブラウザです。
- - DR-DRAW, ViewMAX: その他の関連ソフトウェアです。
外部リンク
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