Darker than darkness -style 93-

『darker than darkness -style 93-』

日本のロックバンドBUCK-TICKの7枚目のオリジナル・アルバム『darker than darkness -style 93-』は、1993年6月23日にビクターエンタテインメントのInvitationレーベルからリリースされました。前作『狂った太陽』から約2年4か月ぶりの作品で、作詞は櫻井敦司と今井寿が担当、作曲は今井と星野英彦が行い、BUCK-TICKのセルフ・プロデュースによって制作されています。

このアルバムは、音楽的にも大きな進化を遂げています。特に前作に比べてノイズ音が際立っており、ギターサウンドもよりヘビーになりました。今井が名付けたアルバムタイトルは「暗闇の向こう側」を意味しており、その雰囲気を反映した音楽が展開されています。

リリース前には、先行シングル「ドレス」が発表されました。この楽曲は後にWOWOWのアニメ『トリニティ・ブラッド』の主題歌としても使用され、リミックスバージョンもリリースされるなど広く親しまれていきます。また、「die」はリカットとしてリリースされるなど、シングルも注目を浴びました。アルバムはオリコンチャートで最高位2位を獲得し、21.3万枚を売り上げるなど、商業的にも成功を収めました。

背景と製作

前作『狂った太陽』のリリース後、BUCK-TICKはコンサートツアー「狂った太陽 TOUR」を実施し、全国49公演を行いました。この間、今井は音楽ユニット「SCHAFT」を結成し、別のプロジェクトにも参加。1992年にはセルフカバー・アルバムをリリースするなど、多彩な活動を展開しました。制作現場では、星野が今井と共にアルバムの方向性を確認する際に「やってみねぇとわかんねぇ」という今井の率直な返答に応える形で、制作が進められました。

録音は1993年2月から4月にかけて行われ、特に星野は初めてキーボードを使用しました。星野と今井の間には音楽的なスタイルの違いがあり、それを克服する中で相互の制作を尊重し合う姿勢が見られました。櫻井は歌詞の創作過程で、多様な表現を試みるとともに、より前向きなテーマを取り入れたことが特徴的です。このアルバムでは、リズム隊の樋口とヤガミも、確かな制作体制のもとで余裕を持ってレコーディングに臨むことができました。

リリースとツアー

『darker than darkness -style 93-』は、1993年6月23日に正式にリリースされ、初回時には10曲目までしか曲目が記載されていないパッケージが注目を集めました。CDには実際には93トラックが収録されており、75トラック目と84トラック目にはノイズ音、最終トラックには隠しトラック「D・T・D」が含まれています。

このアルバムのリリースに合わせてコンサートツアー「darker than darkness -style '93-」が行われ、全国59公演が実施されました。このツアーはバンドの人気をさらに高める結果となり、BUCK-TICKのライブパフォーマンスは多くのファンの記憶に残ることになります。

批評と評価

アルバムは音楽情報サイトから高い評価を受け、「独自の境地を突き進む潔い作品」と称されたほか、音楽的なアプローチや表現の多様性が評価されました。DUCK-TICKのサウンドの本格的な形成が見られる作品と位置付けられ、後の活動に大きな影響を与える基盤ともなりました。

収録曲の解説

アルバムには様々な音楽スタイルが含まれており、たとえば、レゲエをテーマにした「キラメキの中で...」や、ヒップホップ要素を取り入れた「Madman Blues －ミナシ児ノ憂鬱－」などが挙げられます。それぞれの楽曲は独自の雰囲気を持ち、ライブでも多くのアレンジが施されるなど、ファンの間で親しまれ続けています。

『darker than darkness -style 93-』は、BUCK-TICKにとって音楽の幅を広げ、さらなる人気を確立するきっかけとなった重要なアルバムと言えるでしょう。

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