Digital Visual Interface

デジタル・ビジュアル・インターフェース（DVI）とは

デジタル・ビジュアル・インターフェース（DVI）は、液晶ディスプレイやプロジェクターなどの表示装置における、デジタル映像信号の入出力インターフェースの標準規格です。DVIは、映像データを圧縮せずに伝送することで、ノイズレスでドットバイドットの鮮明な表示を可能にしています。また、アナログVGAからの移行を想定して設計され、VGA信号の伝送も可能ですが、機器によっては対応状況が異なるため注意が必要です。

DVI規格の背景

DVIは、Digital Display Working Group (DDWG) という業界コンソーシアムによって開発されました。当時、ディスプレイ装置の性能を最大限に活かすことを目指し、各ピクセルの輝度をバイナリデータとして送信する方式を採用しました。これにより、アナログ信号で発生するノイズや歪みの影響を排除し、ソースデバイスとディスプレイのピクセルを直接対応させることで、より正確な表示を実現しました。

アナログ映像信号の弱点

アナログVGA端子は、CRTディスプレイを前提に設計されており、電圧変化によって明るさを表現していました。しかし、この信号を液晶ディスプレイのようなデジタルデバイスに入力すると、信号のデジタル変換時に歪みが発生し、クロストークが起こる可能性もありました。DVIは、このようなアナログ信号の弱点を克服するために開発されたのです。

技術概要

DVIは、Silicon Image社が提唱したPanelLinkというシリアル通信フォーマットをベースにしています。このPanelLinkを元にTransition Minimized Differential Signaling (TMDS) という規格が標準化され、DVI規格に取り入れられました。DVIの伝送路は、赤、緑、青、クロックの4つのツイストペアケーブルで構成され、1ピクセルあたり24ビットのフルカラーデータを伝送します。

信号タイミングはアナログ映像信号の垂直・水平同期にほぼ一致しており、デジタル映像データはラインごと、フレームごとに送信されます。DVIはデータ圧縮を行わず、常にフレーム全体のデータを送信します。

シングルリンクとデュアルリンク

DVIには、シングルリンクとデュアルリンクの2つのモードがあります。シングルリンクは1つのTMDSリンクを使用し、最大ピクセルクロック周波数は165MHzです。一方、デュアルリンクは2つのTMDSリンクを使用し、高解像度表示や高リフレッシュレートに対応します。デュアルリンクでは、2つのリンクで交互にピクセルデータを送信することで、より高い帯域幅を確保できます。

コネクタの種類

DVIコネクタには、以下の3つのタイプがあります。

DVI-D: デジタル信号専用のコネクタ
DVI-A: アナログ信号専用のコネクタ
DVI-I: デジタルとアナログの両方の信号に対応したコネクタ

また、デュアルリンク対応のコネクタは、DVI-DLと呼ばれることがあります。ただし、コネクタ形状が同じでも、内部配線が異なる場合があるため注意が必要です。

DVI/HDCP

一部のDVDプレーヤーやTVシステムには、DVI/HDCPコネクタが搭載されています。これは、DVIコネクタと物理的には同じですが、著作権保護のためにHDCPプロトコルを使用して信号を暗号化しています。DVIビデオコネクタを持つコンピュータは、DVI搭載のHDTVをディスプレイとして使用できます。

Mini-DVI

小型デバイス向けには、フルサイズのDVI端子の代わりにMini-DVI端子が使用されることがあります。

DVIの仕様

ケーブル長: 最大5m
シングルリンク:
最小ピクセルクロック周波数: 21.76MHz
最大ピクセルクロック周波数: 165MHz
デュアルリンク:
最小ピクセルクロック周波数: 165MHz超
最大ピクセルクロック周波数: 規定なし（ケーブルや機器の性能に依存）
1クロックあたりのピクセル数: シングルリンク1、デュアルリンク2
1ピクセルあたりのビット数: 24 (シングルリンク、デュアルリンク)、48 (デュアルリンク)

ディスプレイモードの例

シングルリンク

HDTV (1920 × 1080) @ 60Hz
UXGA (1600 × 1200) @ 60Hz
WUXGA (1920 × 1200) @ 60Hz
SXGA (1280 × 1024) @ 85Hz

デュアルリンク

QXGA (2048 × 1536) @ 75Hz
HDTV (1920 × 1080) @ 85Hz
WQXGA (2560 × 1600) @ 60Hz
WQUXGA (3840 × 2400) @ 33Hz

DVIとHDMIの互換性

HDMIはDVIをベースにしたデジタル映像・音声規格であり、DVI-HDMI変換ケーブルで相互接続が可能です。しかし、HDMIはアナログRGBをサポートせず、デュアルリンクにも対応していません。また、DVIはデジタル音声重畳に対応していません。

競合規格

DVIは、アナログとデジタルの両方の伝送をサポートする唯一の広く普及した規格です。他の競合規格はデジタル伝送のみに特化しており、LVDSを使用したシステムが知られています。

規格違反

過去には、DVI規格を逸脱した仕様のディスプレイが問題になった事例もあります。特に、DVIコネクタを電源供給にも使用するような設計は、接続機器の破損を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

まとめ

DVIは、デジタル映像伝送の基礎を築いた重要な規格であり、現在でも多くのディスプレイや機器で使用されています。アナログVGAとの互換性やデュアルリンクによる高解像度対応など、様々な特徴を持ち合わせています。しかし、HDMIやDisplayPortといった新しい規格の登場により、DVIは徐々にその役割を終えつつあります。

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