VGA端子

VGA端子：アナログRGB信号伝送の標準規格

VGA端子、またはアナログRGB端子、D-subとも呼ばれるこの端子は、コンピュータとディスプレイ間のアナログRGB映像信号の送受信を担うインターフェースです。IBMが開発したVGA規格のグラフィックボードに採用されたことから、その名が定着しました。主にパーソナルコンピュータや周辺機器で長年利用されてきましたが、近年はデジタルインターフェースであるHDMIやDisplayPortの普及に伴い、その使用頻度は減少傾向にあります。

VGA端子の歴史と規格

VGA端子は、当初CRTディスプレイとの接続を想定して設計されました。アナログ信号を用いるCRTディスプレイの特性に最適化されており、滑らかな映像表示を実現していました。しかし、液晶ディスプレイの普及とデジタル信号処理技術の進歩により、デジタルインターフェースへの移行が加速しました。インテルとAMDは2010年に、2015年までにVGAへの対応を終了する方針を発表し、多くのグラフィックカードメーカーもそれに追随しました。

現在では、新しいグラフィックカードではVGA端子の搭載はほとんど見られなくなりましたが、一部の法人向け液晶モニタやプロジェクター、そしてそれらと接続するための法人向けPCなどでは、依然として需要が存在します。そのため、DisplayPortやHDMIからVGAへの変換アダプタも販売されています。

VGA端子の仕様とバリエーション

VGA端子は、主にDE-15と呼ばれる3列15ピンのミニD-subコネクタを用いています。このコネクタには、RGBの各色信号、水平同期信号、垂直同期信号などが配置されています。また、VESA DDC (VESA Display Data Channel)信号を追加した規格も存在し、ディスプレイの情報をコンピュータ側から取得できます。VESA DDCにはDDC1とDDC2があり、DDC2ではI²C通信方式が採用されています。さらに、同期信号を一本化したり、緑信号に同期信号を載せるSync on Green方式なども存在します。これは、BNCコネクタを用いていた過去の技術の名残です。

規格の差異としては、同形状のコネクタでもピンアサインが異なる場合があり、特にSun系ワークステーションで使われていた13W3コネクタと互換性がないケースも存在します。そのため、市販のアダプタが使用できないという問題点も発生しています。

RGB信号の電圧レベルは、最も明るい状態が0.7Vと定義されており、75Ωのインピーダンスを持つディスプレイとの接続を前提としています。そのため、デジタル回路から直接出力する場合、抵抗を用いた電圧調整やデジタル-アナログ変換回路が必要となります。

コネクタとピン配置

VGAコネクタは、15ピンで構成され、各ピンにはRGB信号、同期信号、その他制御信号が割り当てられています。ピン番号は、グラフィックカード側のメスコネクタを基準とするのが一般的です。ケーブル側のオスコネクタは、メスコネクタとピン配置が反転している点に注意が必要です。

デジタルRGB信号との関係

アナログRGB信号が登場する以前には、デジタルRGB信号が存在していました。デジタルRGBでは、各色信号をON/OFFの1ビットで表現し、8色の表示が可能です。アナログRGBは、このデジタルRGBを多階調化したものと捉えることができます。ただし、近年のDVIなどのデジタル信号とは異なる点に注意が必要です。

VGA端子の将来

デジタルインターフェースの普及に伴い、VGA端子の使用は減少傾向にあります。しかし、既存の機器との互換性を維持する必要がある場面や、コストを抑える必要がある場面では、依然としてVGA端子は活用されています。今後も、変換アダプタなどの利用を通じて、しばらくは需要が維持されると予想されます。

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