EAAT1

EAAT1（Excitatory Amino Acid Transporter 1）

EAAT1は、ヒトのSLC1A3遺伝子によってコードされるタンパク質で、主に細胞膜に存在し、細胞外からグルタミン酸を効果的に除去する役割を担っています。EAAT1は、リンゴ酸-アスパラギン酸シャトルの要素として、ミトコンドリア内膜においても機能しています。

機構

EAAT1は、体内ではホモ三量体の形式で活動します。具体的には、3つのナトリウムイオン（Na+）と1つの水素イオン（H+）を同時に取り込む共輸送（シンポート）を行い、1つのカリウムイオン（K+）を細胞外に排出する逆輸送を介して、グルタミン酸とアスパラギン酸を細胞内に運びます。このプロセスにより、EAAT1はグルタミン酸を濃度勾配に逆らって細胞内に輸送することができます。

組織分布

EAAT1は主に中枢神経系全域に存在し、中でも小脳のアストロサイトやバーグマングリアにおいて高い発現量を示します。また、網膜においてはミュラー細胞にも見られ、心筋細胞を含むいくつかの他の組織でも発現しています。この広範な分布は、EAAT1が神経伝達や病理学的なプロセスにおいて重要な役割を果たしていることを示唆しています。

臨床的意義

EAAT1は特定の神経疾患に関連しています。具体的には、周期性失調症6型（EA6）との関係が指摘されています。また、変形性関節症との関連性もあると考えられており、EAAT1の発現レベルがこれらの疾患の進行に影響を与える可能性があるとされています。

薬理

EAAT1に対する研究は、薬理的な観点からも注目されています。DL-threo-beta-benzyloxyaspartate（TBOA）は、EAATを抑制する薬剤として知られ、EAAT1の特異的な阻害剤も開発されています。25種類の化合物の研究から、EAAT1に対して選択的な作用を持つ新しい阻害剤が発見されています。これらの成果は、神経疾患に対する治療薬の開発に寄与することが期待されています。

まとめ

EAAT1は神経系において非常に重要な役割を果たし、その機能や発現は神経の健康と疾患の発症に深く関与しています。今後の研究により、EAAT1をターゲットとした新たな治療戦略が模索されることでしょう。

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