ELC計画

ELC計画：フランスの空挺戦車開発の試み

ELC計画（Engin léger de combat）は、1955年にフランス国防省によって開始された軽戦車開発プロジェクトです。その目的は、航空機による迅速な展開を可能にする、重武装かつ軽装甲の空挺戦車を開発することでした。

AMX ELC

AMX ELCの試作車両は、GIATインダストリーズによってAMXブランドで開発されました。しかし、量産には至らず、制式配備は行われませんでした。

車重はわずか6トンで、操縦手と砲手は90mm D. 915砲が搭載された砲塔の両側に搭乗します。この車両は非常に軽量であると同時に、全高もAMX-13よりも50cm低いという特徴がありました。そのため、操縦手はリクライニング姿勢をとり、砲手は半身を車台部に潜り込ませる必要があり、砲塔の動きに制限がかかりました。静止時には砲塔は360度回転可能でしたが、車体運動時には従来の突撃砲のように旋回範囲が制限されました。

AMX ELCには、SOFAM 8 Gxbエンジンが搭載されていました。オチキス社の計画に基づいて製作された車台では、複数の砲塔（AMX ELC Bis）の試験が行われました。この車両は、駆動用懸架装置として、片側4つの転輪と2つのトップローラーを備えていました。1957年からは新型車台の開発が始まり、1961年には5つの転輪を持つ新型試作車両、ELC Bisが完成しました。この試作車両は、現在ソミュール戦車博物館に保管されています。

ELC EVEN

ELC EVENは、Ets Brunon-Valetteによって開発されたバージョンで、AMX主導で開発されたAMX ELCとは大きく2つの点で異なります。

1つは、操縦手が砲塔ではなく車体に位置すること、もう1つは、AMX-13やEBR偵察装甲車と同様の揺動砲塔を搭載していることです。

ELC EVENは、武装の異なるいくつかのバージョンが試作されました。これらの試作車両の一部も、ソミュール戦車博物館に収蔵されています。

ELC EVEN 30

ELC EVEN 30は、揺動砲塔の両サイドに、2門のイスパノ・スイザ HS825 30mm機関砲（発射速度1,000発/分、砲口初速1,050m/s）を装備し、その内側には2挺の同軸7.5mm AA-52機関銃が搭載されていました。

ELC EVEN 90

ELC EVEN 90は、揺動砲塔の右寄りに90mm Mecar低圧滑腔砲を1門搭載し、砲塔左側には1挺の同軸7.5mm AA-52機関銃が設置されていました。砲手用のハッチは砲塔上部に設けられていました。

ELC EVEN 120

ELC EVEN 120は、揺動砲塔の両側に2門ずつ設置された4門の120mm無反動砲と、2挺の同軸7.5mm AA-52機関銃で武装していました。

ELC EVEN missiles

ELC EVENの車体に搭載された台座型砲塔（揺動式ではない）にSS-11対戦車ミサイルを搭載した対戦車車両です。2基の発射機が車体右側に、1基が左側に配置されています。垂直発射機の前面には、防弾ガラス製の観察窓が装備されています。

登場作品

ゲーム

World of Tanks：フランス軽戦車としてAMX ELC bisが登場します。
World of Tanks Blitz：ELC EVEN 90が課金車両として販売されています。（ELC EVEN 90はWoTのみ）

脚注

関連項目

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