EMD F7形ディーゼル機関車

EMD F7ディーゼル機関車：アメリカ鉄道黄金時代の象徴

EMD F7は、ゼネラルモーターズ・エレクトロモティブ・ディビジョン（GM-EMD）が1949年から1953年にかけて製造した電気式ディーゼル機関車です。カナダ向け車両は、ゼネラルモーターズ・ディーゼル（GMD）によって製造されました。GM-EMD製の機関車はイリノイ州ラグレーンジ工場で、GMD製の機関車はオンタリオ州ロンドン工場で最終組立が行われました。

F7は、EMD Fシリーズの4機種目で、その成功はシリーズ全体を象徴するものです。F7は、主に貨物列車の牽引を目的として設計されましたが、蒸気発生装置をオプションで装着できたため、旅客列車の牽引にも広く使用されました。

F7の特徴と改良

F7の出力は、前機種であるF3と同様の1,500馬力です。しかし、電気関連機器の改良が加えられ、性能が向上しています。F3との最も大きな外観上の違いは、屋根上の排気システムにあります。F3ではラジエーターファンの前に縦長のよろい戸が設けられていましたが、F7ではダイナミックブレーキ用のファンが設置されました。このダイナミックブレーキ用のファンは、初期型では36インチでしたが、1952年6月以降の製造車両では48インチの大型ファンに変更されています。

F7はFシリーズの中で最も多く製造された機種であり、Aユニット2,366両、Bユニット1,483両が生産されました。製造時期によって、1949年から製造されたフェイズIと、1952年2月から製造されたフェイズIIの2種類に分類され、細部の形状に違いが見られます。しかし、前機種であるF3と比較すると、その差異はさほど目立ちません。

フェイズIからフェイズIIへの変更点は、主に以下の通りです。

Aユニットのみ: 丸窓の間に設置されたフィルタ格子が横向きから縦向きに変更。運転台側面の窓形状も変更されました。
Aユニット・Bユニット共通: 側面上部にあるステンレス鋼製のグリルの形状が変更されました。

さらに、フェイズIも製造時期によって前期型と後期型に分類され、屋根の形状やドア縁の形状に若干の違いが見られます。

後年、一部のF7はF3とともに再構築され、出力がF9と同等の1,750馬力に強化されました。これらは、F9PHと呼ばれることがあります。また、1両がFP10に改造されています。

運用と活躍

Fシリーズで最も多く製造されたF7は、その汎用性の高さから、貨物列車だけでなく旅客列車の牽引にも活躍しました。サンタフェ鉄道のスーパー・チーフやエル・キャピタン、バーリントン鉄道、デンバー＆リオグランデ鉄道、ウエスタン・パシフィック鉄道の3社が共同運行したカリフォルニア・ゼファーなど、多くの長距離列車で重連運転される姿が見られました。

保存状況

F7は、製造数の多さから、現在も多くが保存されています。アメリカ各地の鉄道博物館や、観光鉄道などで、多くのF7を見ることができます。保存されている車両の中には、オリジナルの塗装を維持したものや、改造が施されたものなど、様々な状態の車両が存在しています。これらの保存車両は、アメリカ鉄道の歴史を伝える貴重な遺産となっています。

脚注

文献資料：ネコ・パブリッシング RM MODELS 2000年6月号、関水金属 KATO NEWS 1992年No.46
登場作品：韓国アニメーション「チビ列車ティティポ」

関連項目

EMD Fシリーズ
EMDの機関車一覧

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