EPIC 249631677 b

EPIC 249631677 b

EPIC 249631677 bは、地球からおよそ185光年離れた位置にある、てんびん座の方向に存在する太陽系外惑星です。この惑星は、EPIC 249631677として知られる恒星の周囲を公転しています。主星であるEPIC 249631677は、太陽よりも質量が小さく、表面温度が低いM型主系列星、いわゆる赤色矮星であり、スペクトル分類はM3.5に該当します。

この惑星には、EPIC 249631677 bという名称の他に、観測プログラムやカタログによって与えられた別名もいくつか存在します。例えば、恒星カタログであるTIC (TESS Input Catalog) における名称としてTIC 70298662 b、また赤外線サーベイによるカタログである2MASSにおいては2MASS J15120519-2006307 bといった呼称でも知られています。

発見の経緯

EPIC 249631677 bは、主に惑星探査衛星ケプラーとその拡張ミッションであるK2が取得した膨大な観測データの詳細な再解析を通じて発見されました。ケプラー宇宙望遠鏡は、恒星の明るさのわずかな変化を精密に測定することで、惑星が主星の手前を横切る際に生じる減光（トランジット）を捉えることに特化しています。

初期のデータ解析によって惑星の存在が示唆された後、その存在を確認するために地上の観測施設を用いた追跡観測が行われました。特に、SPECULOOS（Search for Planets EClipsing ULtra-cOOl Stars）プロジェクトの一部である北部および南部の天文台ネットワークが、EPIC 249631677 bによる主星のトランジットを観測することに成功しました。これらの追観測によって、ケプラー/K2データの解析結果が裏付けられ、惑星の存在が確定しました。

軌道と物理的特徴

EPIC 249631677 bの最も特徴的な点の一つは、その短い公転周期です。この惑星は主星のEPIC 249631677の周りを約3.14日という非常に短い時間で一周します。この公転周期の値が数学定数である円周率（π、約3.14159...）に非常に近いことから、一部のメディアや研究者の間では、この惑星を親しみを込めて「π-Earth」（パイ・アース）と呼ぶことがあります。

主星からの軌道距離は、わずか約0.02天文単位（au）と推定されています。1天文単位は地球から太陽までの平均距離に相当するため、0.02 auという距離は、地球が太陽から受けるよりもはるかに強い放射を主星から受ける極めて内側の軌道であることを示しています。

詳細な質量や半径はまだ確定していないものの、発見時の解析結果からは、EPIC 249631677 bは地球のような岩石質の惑星、すなわち地球型惑星である可能性が高いと考えられています。

主星の性質

主星であるEPIC 249631677は、スペクトル分類M3.5の赤色矮星です。赤色矮星は、太陽系を含む銀河系内で最も数の多い恒星タイプであり、寿命が非常に長いことが特徴です。EPIC 249631677 bのように、赤色矮星の非常に近い軌道を回る惑星は、主星からの放射を強く受けるため、表面環境は過酷である可能性が高いですが、赤色矮星の周りの惑星系は系外惑星研究において特に注目されています。これは、赤色矮星が多数存在することに加え、トランジット法による観測が比較的容易であること、そして恒星の寿命が長いため惑星上の環境が安定的に保たれる期間が長い可能性があるためです。

EPIC 249631677 bのような、赤色矮星の周りで見つかる地球型惑星候補は、宇宙における惑星系の多様性や、生命が存在しうる環境の可能性を探る上で重要な研究対象となります。今後の観測によって、この惑星の大気組成やより詳細な物理的性質が明らかになることが期待されます。

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