SPECULOOS

SPECULOOS（Search for habitable Planets EClipsing ULtra-cOOl Stars）とは

SPECULOOSは、超低温矮星や褐色矮星の周囲を公転する地球型惑星を探査する国際的なプロジェクトです。チリのパラナル天文台にあるSPECULOOS Southern Observatory（SSO）と、テネリフェ島のテイデ天文台にあるSPECULOOS Northern Observatory（SNO）の2つの観測施設で構成されています。

SSOは、口径1mのASTELCO製リッチー・クレチアン式望遠鏡4基で構成され、各望遠鏡にはNTM-1000ロボットマウントが装備されています。SNOは、当初1基の望遠鏡で構成されていましたが、将来的に最大3基まで増設される予定です。SPECULOOSは、SAINT-EXやTRAPPISTといった他の惑星探査プロジェクトと連携しながら、観測を行っています。

プロジェクトの目的

超低温矮星と褐色矮星は、半径が小さいため、惑星のトランジット（惑星が恒星の前を通過する現象）がより深く観測できます。これにより、これらの恒星の周囲に存在すると予測される地球型惑星を検出することが可能になると考えられています。

TRAPPIST-1系は、超低温矮星のハビタブルゾーン（液体の水が存在しうる領域）で地球型惑星が形成される可能性を示しました。褐色矮星の場合、トランジットを起こす太陽系外[[惑星]]を持つ系を発見するには、約175個の褐色矮星を継続的に観測する必要があると予測されています。

SPECULOOSでは、各望遠鏡が観測対象となる天体を約10夜にわたって観測します。この観測期間は、ハビタブルゾーンに存在する惑星の検出に最適化されています。南半球で観測対象となる500個の天体を観測するには、約1200夜が必要とされています。ハビタブルゾーンを公転する惑星は、トランジット時間が短く、15分程度になることもあるため、継続的な観測が不可欠です。

望遠鏡とファーストライト

SSOは、エウロパ、イオ、カリスト、ガニメデと名付けられた4基の望遠鏡で構成されています。これらの名称は、木星を公転するガリレオ衛星に由来しています。最初の望遠鏡エウロパは2017年4月にファーストライト（最初の観測画像取得）を達成し、2番目のイオは2017年10月に運用を開始しました。2019年12月には、SSOのすべての望遠鏡が運用を開始しています。

ESO（ヨーロッパ南天天文台）は、2018年12月5日にSSOのファーストライト画像を公開しました。望遠鏡は、イータカリーナ星雲、馬頭星雲、渦巻銀河M83などの画像も撮影しています。

SNOの最初の望遠鏡であるアルテミスは、2019年6月20日に運用を開始しました。

これらの望遠鏡によるロボット観測は、ACP Expertプログラムによって制御されています。各望遠鏡には、Andor製のペルティエ冷却式2K×2K CCDカメラが搭載されており、視野は12×12分角です。

観測波長

SPECULOOSの望遠鏡には、近赤外線に感度のあるカメラが搭載されています。超低温矮星や褐色矮星から放射される電磁波のほとんどが近赤外線であるため、この波長帯での観測が重要です。検出器は700～1000 nmの波長に最適化されており、良好なシーイング条件のもとでJバンド等級14以上の超低温矮星を観測することができます。

プロジェクトの連携

SPECULOOSは、リエージュ大学のMichaël Gillon氏がリーダーシップを取り、リエージュ大学（ベルギー）、バーミンガム大学（イギリス）、キャヴェンディッシュ研究所（イギリス）、ベルン大学（スイス）、マサチューセッツ工科大学（アメリカ）、カナリア天体物理研究所（スペイン）、キング・アブドゥルアズィーズ大学（サウジアラビア）などの研究機関が参加しています。また、ESOはSSOの運用をサポートしています。

プロジェクト名の由来

SPECULOOSという名称は、リエージュ大学による他の宇宙観測プロジェクト（TRAPPISTなど）と同様に、ベルギーの食品に由来するバクロニムです。この場合は、スパイス入りビスケットのSpeculoosから名付けられました。

観測成果

SPECULOOSのファーストライトデータにより、食連星の褐色矮星である2M1510Aが発見されました。これは、これまでに発見された2番目の食連星褐色矮星です。SPECULOOSのデータは、低質量食連星の特徴を明らかにするのに役立ち、高速回転する低質量星のフォローアップ観測において重要な役割を果たしています。

また、SPECULOOSは、太陽系外[[惑星]]K2-135b、惑星系TOI-175、TOI-178の発見にも貢献しました。さらに、SPECULOOSプロジェクトの一部であるSAINT-EXは、TOI-1266の周囲を公転する惑星の発見にも寄与しました。

2022年には、SPECULOOSを用いてLP 890-9の周囲を公転する2つのスーパーアース（一つはハビタブルゾーン内）が発見されました。LP 890-9は、SPECULOOS-2と名付けられました。なお、SPECULOOS-1はTRAPPIST-1の別名です。

2024年には、超低温矮星SPECULOOS-3（LSPM J2049+3336）の周囲に、公転周期の短い地球サイズの惑星が存在することが発表されました。

発見した惑星の一覧

（太陽系外[[惑星]]エンサイクロペディアとNASA Exoplanet Archiveのデータに基づく）








水色の背景は潜在的な居住可能性がある惑星を示す

関連項目

TRAPPIST - リエージュ大学による太陽系外[[惑星]]探査プロジェクト

外部リンク

official website - フランス語と英語で利用可能
SPECULOOS - The Hunt For Exoplanets Is Getting A New Set Of Eyes
* Introducing Artemis — MIT-EAPS' newest addition to the hunt for exoplanets

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