EPIC 249893012 c

EPIC 249893012 c

EPIC 249893012 cは、地球からおよそ1060光年離れた、てんびん座の方向にある恒星EPIC 249893012を周回する太陽系外惑星の一つです。この惑星は、単独で存在するのではなく、主星の周りには少なくとも3つの惑星が存在する複数惑星系の一員として確認されています。

発見の経緯

EPIC 249893012 cの存在は、2020年に初めて報告されました。その発見には、NASAの太陽系外惑星探索ミッションであるケプラー宇宙望遠鏡の延長計画「K2ミッション」によって得られた観測データと、チリにあるラ・シラ天文台の3.6m望遠鏡に搭載された高精度視線速度測定装置HARPS（High Accuracy Radial velocity Planet Searcher）などの地上望遠鏡による主星の視線速度データが活用されました。

K2ミッションによるトランジット観測は、惑星が主星の手前を通過する際の減光を捉えることで、惑星の半径を推定する主要な手段となりました。一方、視線速度観測は、惑星の重力によって主星が揺らぐ様子を検出し、惑星の質量を推定する上で重要な情報を提供します。これら二つの異なる手法で得られたデータを統合的に解析することにより、EPIC 249893012 cの物理的性質が明らかになりました。

この発見により、主星EPIC 249893012の周囲には、EPIC 249893012 bを含む合計3つの惑星が公転していることが確認されました。複数惑星系の発見は、単独惑星系と比べて惑星系の形成や進化の過程を理解する上で貴重な情報を提供します。

特徴と性質

EPIC 249893012 cは、その物理的な特徴において、私たちの太陽系に存在する海王星に類似した性質を持つと考えられています。観測データから推定されたこの惑星の半径は地球の約3.7倍であり、質量は約15倍とされています。この半径と質量の組み合わせは、典型的な岩石惑星や巨大ガス惑星とは異なり、海王星や天王星のような氷巨大惑星またはガス惑星であることを示唆しています。

この惑星の軌道も特徴的です。主星EPIC 249893012からの平均距離は約2000万キロメートルと推定されており、これは私たちの太陽系における水星軌道（平均約5800万km）よりもはるかに内側にあたります。この比較的短い軌道を、EPIC 249893012 cは約15.6日という短い周期で一周しています。主星に近い軌道を高速で公転するその性質から、「ホット・ネプチューン」またはそれに類する、表面温度が高いと予想される天体である可能性が考えられます。

研究の意義

EPIC 249893012 cのような太陽系外惑星、特に複数惑星系の一員として発見され、半径と質量の両方が比較的よく求まっている惑星は、系外惑星の多様性を理解し、惑星形成論のモデルを検証する上で重要な研究対象となります。異なる惑星が同じ恒星の周りにどのように形成され、現在の軌道に落ち着いたのかを調べることは、惑星系の普遍的なメカニズムや、太陽系がどのようにして現在の姿になったのかを理解する手助けとなります。EPIC 249893012 cおよびその惑星系のさらなる詳細な観測は、今後の系外惑星科学において重要な知見をもたらすことが期待されます。

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