ETV特集 シリーズ「日本と朝鮮半島2千年」

ETV特集 シリーズ「日本と朝鮮半島2000年」

本シリーズは、NHKが展開した大型企画「プロジェクトJAPAN」の一環として、NHK教育テレビ（ETV）開局50周年を記念して制作されました。2009年度にETV特集のレギュラー枠で放送され、日本と朝鮮半島双方の国々にまたがる2000年にわたる歴史と人々の交流を深く掘り下げていきました。古代から近代直前までを主な対象とし、様々な視点から両地域の関係性を多角的に検証する試みでした。

各回のテーマ

番組は全10回で構成され、それぞれ特定の時代やテーマに焦点を当てました。

「古代 人々は海峡を越えた」 (2009年4月26日放送)
古代から現代に至る日本と朝鮮半島間の人、モノ、文化の移動と交流の歴史を辿るシリーズの導入回。高句麗や日本の高松塚古墳などを例に挙げ、古代の交流の様相を紹介しました。

「“任那日本府”の謎」 (2009年5月31日放送)
古代の史料に登場する「任那日本府」という存在について、その実態に関する様々な説を検証しました。当時の朝鮮半島南部と古代日本（倭）を取り巻く複雑な国際関係や国家像に迫りました。

「仏教伝来 渡来人がもたらした飛鳥文化」 (2009年6月28日放送)
朝鮮半島の百済の古都・扶余に位置する王興寺と、日本で最初の本格的な寺院とされる飛鳥寺に注目。仏教伝来が飛鳥文化に与えた影響や、渡来人が果たした役割を、建築様式や遺物などから探求しました。

「そして“日本”がうまれた～白村江の敗戦から律令国家へ～」 (2009年7月26日放送)
唐の成立と朝鮮半島情勢の緊迫化の中で起きた白村江での敗戦を転換点として捉え、これが地方豪族の連合体であった倭国を、中央集権的な律令国家「日本」へと変貌させる契機となったという歴史観を検証しました。

「日本海への道 幻の王国・渤海との交流」 (2009年8月30日放送)
現在のロシア沿海州などに存在した渤海という国家と、日本との交流をテーマとしました。クラスキノ遺跡からの出土品や日本海沿岸部の調査結果などを通じ、古代から平安時代にかけての日渤交流が東アジア全体の交流において果たした役割を考察しました。

「蒙古襲来の衝撃 三別抄と鎌倉幕府」 (2009年9月27日放送)
「東シナ海の光と影 倭寇の実像を探る」 (2009年10月25日放送)
「豊臣秀吉の朝鮮侵略」 (2009年11月29日放送)
「朝鮮通信使 和解のために」 (2009年12月27日放送)
「“脱亜”への道 江華島事件から日清戦争へ」 (2010年1月31日放送)

全10回をもって2009年度のシリーズは完結しましたが、このテーマは翌2010年度に『NHKスペシャル・シリーズ 日本と朝鮮半島』へと引き継がれ、日本の朝鮮併合から現代に至るより近現代史が詳細に描かれました。

制作スタッフと反響

番組のナレーションは、当初予定されていた高橋美鈴アナウンサーが体調を崩したため、放送期間中に中條誠子アナウンサーと礒野佑子アナウンサーが担当しました。声の出演としては、81プロデュースに所属する糸博、小室正幸、松岡洋子といった声優陣が参加しています。

放送内容については、一部で朝鮮半島側の研究者の歴史観に寄りすぎているとの見方から、様々な議論や批判を呼んだことも特筆されます。

関連項目

日朝関係史

外部リンク

ＥＴＶ特集　日本と朝鮮半島２０００年 - NHK放送史

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