EdgeHTMLとは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

EdgeHTMLとは

EdgeHTMLは、マイクロソフトがMicrosoft Edgeブラウザのために開発したプロプライエタリなレンダリングエンジンです。Internet ExplorerのレンダリングエンジンであったTridentをベースに、Web標準への準拠と最新ブラウザとの互換性向上を目指して開発されました。

Tridentからの進化

マイクロソフトは、EdgeHTMLをTridentから「フォーク」したと説明していましたが、実際にはTridentの開発を終了し、EdgeHTMLに移行したため、事実上の後継バージョンと言えます。EdgeHTMLでは、Tridentにあったレガシーな機能を削除し、Web標準を重視することで、他の最新ブラウザとの互換性を高めることを目標としました。

リリースと開発終了

EdgeHTMLは、2014年11月にWindows 10 Technical Previewで初めて搭載され、2015年6月に正式版が公開されました。しかし、2018年にはMicrosoft EdgeをChromiumベースで再開発することが発表され、2020年にEdgeHTMLの開発は終了しました。

Windowsでの利用

EdgeHTMLは、ソフトウェア開発者がアプリケーションにウェブブラウズ機能を容易に追加できるように、ソフトウェアコンポーネントとして設計されました。C++や.NETからCOMインタフェースを介して利用でき、ウェブページの要素値の取得やイベントの捕捉が可能です。また、Windows Bridge for Webアプリによって作成されたアプリケーションのレンダリングにも利用されていました。

サポートの状況

2021年3月9日に、Chromiumベースではない従来のEdgeのサポートは終了しましたが、EdgeHTMLのコアコンポーネントである`Edgehtml.dll`や`Chakra.dll`は、ソフトウェアの互換性を維持するために引き続きサポートされています。

EdgeHTMLのリリース履歴

EdgeHTML 12

2014年11月12日にWindows 10 Technical Previewの一部としてInternet Explorer 11のレンダリングエンジンとして初搭載されました。当初、Trident 7の機能をEdgeHTMLに搭載し、Internet ExplorerとMicrosoft Edgeの両方に利用する予定でしたが、最終的にEdgeHTMLはMicrosoft Edgeのみに利用されることとなりました。このバージョンでは、Tridentをベースにレガシー機能の削除やパフォーマンス改善が行われ、他の最新ブラウザと同等の機能とパフォーマンスを実現しました。

EdgeHTML 13

2015年8月18日にWindows 10 Insider Preview Build 10525の一部としてリリースされました。HTML5とCSS3のサポートが強化され、RTCオブジェクトのサポートが追加されました。また、ECMAScript 6のサポートが大幅に強化され、当時リリースされていたブラウザと比較して、高いECMAScriptのサポート率を誇りました。

EdgeHTML 14

2015年12月16日に「Redstone」の最初のビルドに含まれる形で初期バージョンがリリースされました。2016年2月18日にはバージョン14.14267がリリースされ、Web NotificationsやWebRTC 1.0のサポートが追加されました。また、HTML5、CSS3、ECMAScript 6、ECMAScript 7のサポート強化も行われました。

EdgeHTML 15, 16

EdgeHTML 15は2016年10月8日、EdgeHTML 16は2017年9月26日にそれぞれ初期バージョンがリリースされました。

パフォーマンス

EdgeHTMLは、JavaScriptのパフォーマンスにおいて当時のGoogle Chromeを上回るベンチマーク結果を記録したこともありました。一方で、WebGL APIに焦点を当てたベンチマークでは、他のブラウザの方が優れたパフォーマンスを示す場合もありました。しかし、バッテリーの持続時間においては、特に動画再生において、他のブラウザと比較して優れた性能を示しました。

互換性

マイクロソフトは、Trident時代から他社製ブラウザとの互換性の問題を抱えていました。EdgeHTMLでは、Google ChromeなどのWebKitベースのブラウザとの完全な互換性を目指し、「Edge・WebKit間の差異はバグと見做し、修正の対象とする」と宣言しました。しかし、完全な互換性を実現することはできず、最終的にはMicrosoft EdgeをChromiumベースで再開発する方針に転換しました。EdgeHTMLの開発終了により、Trident時代から20年以上続いていた互換性の問題は、一旦終止符が打たれることとなりました。

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