Encapsulated PostScript

Encapsulated PostScript (EPS) ファイルフォーマットの詳細解説

Encapsulated PostScript（EPS）は、PostScriptをベースとした画像ファイルフォーマットです。ベクトルデータとビットマップデータの両方に対応し、高精細な画像表現を可能にしています。一般的にはEPSと呼ばれ、epsf (Encapsulated PostScript File Format) とも表記されます。

EPSファイルの特長

EPSファイルの最大の特徴は、画面表示だけでなく、プリンターやイメージセッターなど、様々な出力デバイスで同一の画像を正確に再現できる点です。これは、デバイス非依存のPostScript言語に基づいているためです。

ベクトルデータのみで構成されるEPSファイルは、拡大しても画質の劣化がありません。しかし、ビットマップデータを含む場合は、拡大するとビットマップ部分の画質が劣化することがあります。この点は、ベクターデータとラスタデータの特性の違いによるものです。

対応ソフトウェア

EPSファイルは、様々なグラフィックソフトウェアで作成・編集できます。代表的なソフトウェアとしては、ベクターグラフィックソフト（Inkscape、Adobe Illustrator、CorelDRAW、FreeHandなど）、ラスタグラフィックソフト（Adobe Photoshop、Corel Paint Shop Pro、GIMPなど）が挙げられます。さらに、tgifといったソフトウェアでも作成が可能です。

Microsoft Officeとの互換性

かつてMicrosoft Officeでは、EPSファイルを画像として挿入することができました。しかし、2017年4月11日のセキュリティ更新プログラム以降、この機能はデフォルトで無効化されました。その後、レジストリを編集することで有効化することも可能でしたが、2018年5月以降、Office 365では段階的にこの方法も無効化され、同年10月には完全に利用できなくなりました。

そのため、現在ではMicrosoft Officeで直接EPSファイルを扱うことは困難であり、他の画像フォーマットへの変換が必要となる場合があります。

EPSファイルと他のフォーマット

EPSファイルは、ベクター形式の画像フォーマットとして、Scalable Vector Graphics (SVG)、Windows Metafile (WMF, EMF) などと並んで使用されてきました。EPSはこれらのフォーマットと比較して、より複雑な画像表現が可能である一方、ファイルサイズが大きくなる傾向があります。また、色分解においてはDCS色分解との関連性も考慮する必要があります。

まとめ

EPSファイルは、高精細な画像出力とデバイス非依存性を両立させた優れた画像フォーマットです。しかし、Microsoft Officeとの互換性の問題や、ファイルサイズが大きくなる傾向がある点など、考慮すべき点もあります。適切なソフトウェアを選択し、用途に合わせてファイルフォーマットを選択することが重要です。

参考文献

『PostScript詳細解説―PDFの元となった標準ページ記述言語とその実装 /CD-ROM付き』CQ出版社〈OPEN DESIGN BOOKS〉、1997年12月20日。ISBN 9784789818513。
『インタプレス―電子出版のためのページ記述言語』丸善、1989年3月30日。ISBN 9784621033500。

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