ExA-Arcadia

exA-Arcadia：アーケードゲームの未来を拓く基板

2019年、世界中のアーケードゲーム市場に新たな風を吹き込んだアーケードゲーム基板、exA-Arcadia（エクサ アルカディア）。その革新的な技術と開発理念、そして市場へのインパクトについて詳細に解説します。

独自の開発思想と市場への配慮

exA-Arcadiaは、単なるアーケードゲーム基板ではありません。開発を主導した実業家エリック・“ShouTime”・チャング氏は、ビデオゲーム収集家であり、格闘ゲームプレイヤーとしても知られる人物。その経験と知識を活かし、世界各国の中小ゲームセンターの状況を綿密に調査。ネットワーク接続を必須とせず、プレイ毎の課金も不要とするなど、設置場所を選ばない柔軟な運用を可能にしました。さらに、画面出力は16:9液晶と4:3ブラウン管の両方に対応することで、既存の設備を最大限に活用できるよう配慮されています。

高性能と多様な開発環境

基板はWindows PCベースで、4つのゲームROMスロットを搭載。Intel CPU、NVIDIA GeForceシリーズGPU、8GBメモリというパワフルな構成を誇り、高画質・高フレームレートでのゲームプレイを実現しています。開発ツールにも配慮しており、Unity、Unreal Engine、Game Maker Studio 2など、多くのゲームエンジンに対応。これにより、開発者は自身の得意なツールを用いて自由にゲームを開発できます。また、JVS/JVS'規格に対応し、I/O変換基板を用いることで旧JAMMA規格にも対応可能。既存筐体との互換性も確保されています。

驚異的な低遅延と進化

exA-Arcadiaは、その技術力の高さでも知られています。2022年のシューティングゲームイベント「シュー大祭」において、他社基板や現行コンソールよりも優れた操作パフォーマンスが実証され、最小入力遅延1フレームを実現。さらに2023年のJAEPOでは、exA-Arcadiaが開発したJVS'（ダッシュ）規格により、最小入力遅延0.3フレームという驚異的な数値を達成しました。

筐体と周辺機器

exA-Arcadiaは基板単体だけでなく、専用の筐体も提供しています。2021年春からは、米国で55インチ4Kモニター搭載の1P、2P、4Pモデルの販売が開始。2024年のEVO JAPANでは、新たに開発されたARC-32汎用筐体が公開されました。この筐体は32インチ1080pディスプレイを搭載し、モニターの回転も可能です。さらに、バンダイナムコ製ノアール筐体、タイトー製VEWLIX筐体、ナムコ製ドラゴンボールゼンカイバトル筐体など、様々な筐体への対応も実現しています。

アダルトゲーム市場への進出

exA-Arcadiaの互換基板として、『Hawt Pink Club』も存在します。これはオランダのHawt Pink Club BVが開発したアダルトゲーム向けの基板で、2020年に発表。その後、日本でも販売が開始されました。

継続的な発展とグローバル展開

2019年のローンチ以降、exA-Arcadiaは着実に進化を続け、2024年4月現在では世界中に2000台以上の基板が稼働しています。40本以上のゲームタイトルがリリースされ、その数は増え続けています。exA-Arcadiaは、アーケードゲーム業界の未来を担う存在として、更なる発展を期待されています。

関連技術と歴史

exA-Arcadiaは、ネオジオなど、複数のゲームROMスロットを持つアーケードシステム基板であるMulti Video Systemの影響を受けていると言われています。また、米国Griffin Aerotech社のAIRFRAME基板も開発に影響を与えました。これらの技術的な系譜を理解することで、exA-Arcadiaの独自性をより深く理解することができます。

まとめ

exA-Arcadiaは、その柔軟性、高性能、そして開発者への配慮を組み合わせた、画期的なアーケードゲーム基板です。中小規模のゲームセンターから大型施設まで、幅広い場所で活躍し、世界中のアーケードゲームシーンに大きな影響を与え続けています。今後の発展にも期待がかかります。

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