F905i

FOMA F905i (フォーマ・エフきゅうまるごアイ) の詳細解説

FOMA F905iは、富士通によって開発されたNTTドコモの第三世代携帯電話（FOMA）端末です。その特徴は、左右に90度スイングするサイクロイド機構を採用した「ヨコモーションスタイル」にあります。この機構により、ディスプレイを横向きにして、より広い画面でコンテンツを楽しむことができました。

デザインとディスプレイ

愛称は「フルワイドヨコモーション」。先代のF904iからデザインを踏襲しつつ、額縁部分を薄くすることで、液晶ディスプレイは0.1インチ大きくなり、3.2インチのフルワイドVGA（スーパーファインIPS）液晶を搭載しました。富士通製端末として初めてのVGA液晶搭載であり、携帯電話では初となるフルカラー（約1677万色）表示に対応したことも大きな特徴です。背面には0.6インチのモノクロ液晶が搭載されており、時計を常時表示できます。ボディの厚さはF904iよりも1mm薄くなっています。

キーライトには青色LEDを使用し、横モーション部には白色LEDとRGB球を用いたイルミネーションが施されています。このイルミネーションは、写真撮影時の補助ライトとしても利用可能です。

ワンセグ機能

ワンセグ機能は、視聴だけでなく録画にも対応しました。F90xiシリーズとして初めて、予約録画（EPG対応）機能も搭載。バックグラウンド録画も可能です。

セキュリティ

指紋認証センサーを搭載し、プライバシーモードも細かく設定可能。生体認証機能は端末外側に設けられているため、端末を閉じたままICカードロックなどを解除できます。セキュリティ面が強化されました。

カメラ機能

約320万画素のCMOSカメラ（有効画素数:約310万画素）を搭載。デジタル一眼レフカメラにも使われる画像処理エンジンMilbeautを採用し、オートフォーカス、電子式手ぶれ補正、歪み補正に対応しています。VGAサイズの動画撮影も可能です。

カメラ素子の向きが横向きに変更され、横位置での撮影が基本となりました。

その他の特徴

- メイン画面のフルワイドVGA化に伴い、内蔵フォントが全てスケーラブルフォントとなり、メール画面などのフォントを15段階で変更できるクイックズーム機能が搭載されました。
- メール一覧プレビュー機能やメール作成画面での自動フォーカス機能も搭載されています。
- フォントは、ゴシック、リュウミンに加え、丸フォークフォントがプリインストールされています。
- マルチタスク機能が強化され、iアプリと音楽再生機能などを同時起動できます。ヨコモーション時にはマルチウインドウ機能で、ワンセグやフルブラウザなどの2画面同時表示が可能です。
- FOMAハイスピード（HSDPA）、GSM ローミング、エリアメール、GPS、直感ゲーム、Flash Lite 3に対応。
- スーパーはっきりボイス、はっきりマイク、ゆっくりボイス機能を搭載。らくらくホン以外では初めての対応です。
- FMトランスミッターによるワイヤレス音声出力機能、2タッチ入力（ポケベル打ち）対応、目覚まし詳細一覧機能も追加されました。
- iアプリは、直感ゲームに対応。「チャクレンジャーカートネオ」が搭載されています。

ソフトウェアの更新履歴

2008年 1月31日には、GPS測位の不具合修正やエリアメール受信設定画面の説明文変更が行われましたが、2月4日には更新の一時休止となりました。その後、3月11日に更新が再開され、Music&Videoチャネルの不具合やGPS測位の不具合、ソフトウェア更新の失敗に対する修正が施されました。さらに、2008年 7月23日には、バイブレータの誤作動後の再起動、電波が悪い状態でのiアプリやICアプリ更新時のエラー、画面のちらつきに関する修正が行われ、9月10日には省電力状態での電源切れに関する修正が行われました。

宣伝と受賞

テレビCMには木村拓哉が出演し、ヨコモーション機能による操作を紹介。価格.comのプロダクトアワード2007では、携帯電話カテゴリのプロダクト大賞を受賞しました。

台湾FET仕様

台湾のFar EasTone Telecommunications（FET）向けにも、日本仕様と同じ「F905i」の名称で発売されました。ただし、ワンセグやFelicaには非対応です。

まとめ

FOMA F905iは、その革新的なデザインと先進的な機能で、当時の携帯電話市場において注目を集めました。サイクロイド機構によるヨコモーションスタイル、VGA液晶、フルカラー表示、ワンセグ録画、指紋認証など、多彩な機能を搭載し、多くのユーザーに愛された一台と言えるでしょう。

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