FMトランスミッター

FMトランスミッターとは

FMトランスミッターは、FMラジオの周波数帯を利用して音声信号を無線で送信する機器です。送信機の一種であり、主にオーディオ機器のアクセサリーとして利用されます。パソコンやスマートフォン、携帯音楽プレーヤーなどの音声を、カーオーディオや家庭用FMラジオで受信するために使われます。

歴史と背景

かつて、携帯音楽プレーヤーの音声をカーオーディオで楽しむには、カセットアダプターが一般的でした。これはカセットテープの形をしたアダプターをプレーヤーに挿入し、そこから音声信号をカーオーディオに送るものでした。しかし、カセットデッキを備えないカーオーディオが増加したため、より手軽なFMトランスミッターが普及しました。

ドライブインシアターでは、映像に合わせてFMトランスミッターで音声を送信し、各車のラジオで受信するという方法が用いられていました。

FMトランスミッターの仕組みと特徴

FMトランスミッターは、音声信号をFM放送の電波に変調し、アンテナから送信します。受信側のFMラジオは、その電波を受信することで音声が再生されます。無線接続のためケーブルが不要ですが、電波で送信するため有線接続に比べると音質が劣化する傾向があります。また、近隣で同様のFMトランスミッターが使用されていると、電波が混信してノイズが発生する可能性があります。

近年の動向

近年、カーオーディオにAUX端子が搭載されるようになったため、FMトランスミッターの利用は減少傾向にあります。AUX端子にケーブルで接続することで、より高品質な音声を楽しむことができるためです。特に社外品のカーオーディオでは、2000年代以降、フロントAUX端子の搭載が進み、現在ではほとんどの機種に搭載されています。しかし、純正カーオーディオではAUX端子の搭載が消極的で、別途アダプターが必要になる場合があり、その取り付けには専門業者に依頼する必要があるため、FMトランスミッターが依然として利用される場面もあります。

他の接続方法

カーオーディオのCDチェンジャーには、AM/FMラジオやAM/FMカセットで利用できるトランスミッターが搭載されている機種もあります。これらはアンテナ線とオーディオユニットに割り込ませて接続するため、シガーソケット接続のFMトランスミッターよりも混信のリスクは少ないです。ただし、取り付けがやや難しいため、専門業者に依頼する必要があります。また、これらの機種は、CDチェンジャーの電源を切った状態でもラジオにノイズが入りやすいという欠点があります。

電源

FMトランスミッターの電源は、USB式とACアダプター式の2種類があります。ACアダプター式は、シガーソケットから電源を供給するプラグと一体になったものが多く見られます。また、携帯音楽プレーヤーや携帯電話には、FMトランスミッターが内蔵されている機種もあります。

電波法と微弱無線

FMトランスミッターは、電波法で規定される「著しく微弱な電波」を利用するため、ほとんどの製品は免許不要で使用できます。しかし、一部の製品は出力が基準を超えていることがあり、自主回収された事例もあります。製品を選ぶ際には、微弱無線マーク（ELPマーク）を確認することが推奨されます。

関連情報

微弱無線局：電波法で規定された微弱な電波を利用する無線局。
ミニFM：小規模な地域放送を行うためのFMラジオ局。
W32SA：フィーチャーフォンで初めてFMトランスミッターを内蔵したauの端末。
IS01 (SHI01)：スマートブックで初めてFMトランスミッターを内蔵したauの端末。
* IS03 (SHI03)：スマートフォンで初めてFMトランスミッターを内蔵したauの端末。

FMトランスミッターは、かつては手軽に音楽を楽しむための便利なツールでしたが、技術の進歩とともに他の接続方法が普及し、利用機会は減少しています。しかし、純正カーオーディオなど一部の環境では、依然として有効な手段です。

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