FIA スポーツカー選手権

FIAスポーツカー選手権の歴史

FIAスポーツカー選手権は、2001年から2003年までの間、国際自動車連盟（FIA）によって主に欧州で開催されたスポーツプロトタイプカーによる耐久レースです。この選手権は、以前の「インターナショナル・スポーツカー・レーシング・シリーズ」（ISRS）と「スポーツカー・レーシング・ワールド・カップ」（SRWC）を引き継ぐ形で発展しました。

緒言：1992年以降のスポーツカー耐久レース

1992年に終了したスポーツカー世界選手権（SWC）の後、欧州ではル・マン24時間レース以外のメジャーなスポーツカーレースが消滅しました。しかし、1994年からはBPRという団体がGTマシンによる耐久レースシリーズを開催。一方、北米でもIMSA-GTPが同じく1993年で幕を下ろし、その後はWSC（ワールドスポーツカー）規定に基づいたレースが行われるようになりました。この流れの中で、ル・マンはGTマシンとWSCの両者によって競われる大会に変貌を遂げました。

ISRSとSRWC：新たな試み

1997年、IMSAで行われていたオープントップWSC規定のスポーツカーシリーズを欧州で実現したいとの要請を受け、ジョン・マンゴレッティがISRSを立ち上げました。このシリーズには、IMSAで活躍するフェラーリ・333SPやライリー・アンド・スコット・Mk IIIなどが参加し、特にトリプルエントラントのヨーストやクレマーもその名を連ねました。ISRSでは、SR1が自然吸気6000cc、ターボ4000cc、SR2では製造車ベースの3000cc6気筒に細分化されました。

同時に、BPR-GTシリーズは1997年にFIAの管轄下に入りFIA GT選手権へと進化。メルセデス、ポルシェ、BMWなどのワークスチームが参戦し、GT1クラスには実質的にプロトタイプに近い車両も登場するようになりました。しかし、1998年のル・マンではトヨタ・GT-One TS020やメルセデス・ベンツ・CLK-LMなどが参戦し、GTクラスの意義が薄れてしまいます。

この状況を受けてFIAは新たにGTPマシンを基準とした国際プロトタイプカー選手権（IPC）の設立を計画するも、主要なメーカーが参加しないことから実現には至りませんでした。その後、ISRSにはFIAカップが付与され、1999年からSRWCがスタートしますが、やはりプライベーター中心のシリーズとなり、興行的には成功を収められませんでした。

FIAスポーツカー選手権の誕生とその運命

その後、北米ではIMSAを買収したドン・パノスがALMS（アメリカン・ル・マン・シリーズ）を1999年に発足。2001年には北米を越え、国際的な場でも開催されるようになりましたが、翌年には北米に戻りました。この頃、FIAはSRWCにFIA選手権の称号を与え、FIAスポーツカー選手権（FIA SCC）が開始されました。これは1992年のSWC終了以降、FIAが再びスポーツカー選手権を立ち上げる出来事となりました。しかし、興行面での魅力に欠けたため、FIA SCCも2003年末には活動を停止する運命にありました。

日本の活躍

FIA SCCの期間中、日本のレースチームも注目されます。童夢製のS101が、デンマークのチーム郷やオランダのレーシング・フォー・ホーランドから参戦し、3年間で9勝を上げました。特に2002年と2003年には、レーシング・フォー・ホーランドの逐次チームがコンストラクターズチャンピオンに輝くなどの成果を挙げています。さらに2003年、チーム郷がアウディ・R8の車両でスパ・フランコルシャンで勝利を収めるなど、日本人ドライバーたちも活躍しました。

その後の展開

2004年からは、ル・マンの主催者であるフランス西部自動車クラブ（ACO）がル・マン耐久シリーズを開始。これが後にインターコンチネンタル・ル・マン・カップ（ILMC）へと進化し、最終的に2012年にはFIA 世界耐久選手権が発足しました。FIAスポーツカー選手権から始まる耐久レースの歴史は、このように多くの試みと変化を経て、現代の自動車レースの土壌を作り上げています。

もう一度検索