FIRST CHOICE LAST STANCE

Suchmosの新たな挑戦を告げるシングル

「FIRST CHOICE LAST STANCE」（ファースト・チョイス・ラスト・スタンス）は、日本のロックバンドSuchmosが2017年7月5日にリリースしたシングルです。この作品は、彼らが立ち上げた自主レーベル「F.C.L.S.」からの第一弾リリースということもあり、バンドにとって非常に重要な意味を持つ作品となっています。

リリースと背景

Suchmosは、2017年3月から4月にかけて2枚目のアルバム「THE KIDS」のツアーを成功させました。そのツアー中の4月27日、新木場STUDIO COASTでの追加公演にて、ソニー・ミュージックレーベルズとの契約、そして自主レーベル「F.C.L.S」の発足を発表しました。このレーベルからの第一弾作品としてリリースされたのが、このシングル「FIRST CHOICE LAST STANCE」です。

このシングルには、ライブですでに披露されていた「WIPER」と新曲「OVERSTAND」の2曲が収録されています。ボーカルのYONCEによると、この2曲を選んだことに深い意味はなく、当時完成していたのがこの2曲だったとのことです。しかし、歌詞にはYONCEとHSUがその時感じていたことが反映されており、それが作品として形になったことで、発表するタイミングとしてふさわしいと判断したと語っています。

楽曲の制作は「THE KIDS」のレコーディング終了後すぐに始まりました。バンドメンバーは2016年11月にグアムで休暇を過ごし、帰国後の最初のリハーサルで「OVERSTAND」が誕生しました。YONCEは同曲について、過去の楽曲「MINT」にも通じる雰囲気があり、スタジアムロック的なメロディー、レゲエのようなベースライン、土着的なリズムが上手く融合していると述べています。「WIPER」は2017年1月末から2月初めのジャムセッションで生まれた曲で、ベースと鍵盤のユニゾンフレーズからメロディーが生まれ、そこから曲が形作られていきました。歌詞はツアー前にHSUが書き上げ、ツアーのセットリストにも加えられ、ライブで何度も演奏されました。「WIPER」というタイトルは、自動車のワイパーとテレビ番組のワイプのダブルミーニングになっています。

また、「OVERSTAND」は2017年10月からソニー「ノイキャン・ワイヤレス」のCMソングに起用され、メンバー自身も出演しました。

CDには、3曲目に隠しトラックとして未発表曲「ENZO」が収録されています。冒頭約18秒間の無音の後、30秒ほどの短い楽曲が収録されています。

批評家の反応

音楽メディアからは、このシングルに対して様々な評価が寄せられました。

CINRA.NETの矢島氏は、タイトル通り「最初に決めたスタンスを最後まで」貫く反骨精神とピースへの願いがこの作品にも明確に表れているとコメントしています。
Rooftopの岡田健吾氏は、特に「OVERSTAND」について、もがき続ける気持ちをクールに歌ったスローナンバーで、強い意志を感じると評価しています。
ロッキング・オンの三宅正一氏は、「WIPER」を「THE KIDS」で培ったロックモードをさらに研ぎ澄ませた曲、「OVERSTAND」はクールなアンサンブルで力強いアンセムだと評しています。
同サイトの小野島大氏は、「WIPER」を跳ねるようなビートとYONCEのハイトーンボイスが織りなすグルーヴが強烈で、ダンスナンバーとして優れていると評価しました。また、「OVERSTAND」はバンドの優しさや繊細さ、そして奥深さを示す名曲だと述べています。両曲とも、新しいアイデアやセンスが盛り込まれており、バンドの現在形を見事に表していると評価しています。
BELONG Mediaの桃井かおる子氏は、「WIPER」のギターは新たなロックの一面を感じさせるが、クラブミュージック調のサウンドでシンプルな持ち味が損なわれていると指摘しました。また、ボーカルメロディとYONCEの歌声が合っていない点、HSUが書いた歌詞を歌うことで等身大のメッセージ性が薄れているのではないかと指摘しています。「OVERSTAND」については、歌詞がはっきり聞き取れる点や、歌謡曲に近い印象を受ける点を指摘し、新境地と評価しました。しかし、この2曲からバンドの新たな一面が見える反面、リスナーが今後の音楽性に不安を感じる可能性も示唆しました。

プロモーション活動

このシングルのリリースに際して、様々なプロモーション活動が行われました。

2017年6月26日発売の雑誌「AERA」の表紙にSuchmosが初登場しました。撮影は蜷川実花氏が担当し、渋谷スクランブル交差点で行われました。
7月3日からJR渋谷駅ホームと原宿駅の通路に広告が掲出されました。
7月5日のシングル発売日からは、バンドと縁のある若手イラストレーター6人が、渋谷駅周辺の広告にグラフィックを追加するアートギャラリー企画が実施されました。
* シングルの特典として付属するSuchmosロゴステンシルシートを活用したプロモーションも展開されました。渋谷スクランブル交差点のビジョンや裏原宿のストリートポスター、CDショップの店頭、ウェブサイト、SNSアイコンなどで、ステンシルシートを使用したロゴが出現しました。

収録曲

1. WIPER
2. OVERSTAND
3. ENZO (隠しトラック)

チャート

(チャート情報があれば追記)

まとめ

「FIRST CHOICE LAST STANCE」は、Suchmosが新たなフェーズに突入したことを示す重要なシングルです。自主レーベルからの第一弾作品として、彼らの音楽性の進化と新たな挑戦を提示し、リスナーに大きな印象を与えました。

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