FMラルース

FMラルース：災害時に光を灯したミニFM局

FMラルースは、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに、兵庫県西宮市で設立されたミニFM局です。地元に密着した防災情報を発信することを目的としていました。

設立の背景

震災後、西宮市北部を中心に地盤が緩み、土砂災害の危険性が高まっていました。また、仮設住宅の住民は大雨時の河川氾濫に対する不安を抱えていました。そのような状況下で、コミュニティFM放送局の必要性を感じた地元のフリーライター近兼拓史氏が、地元企業や行政に働きかけました。

しかし、コミュニティFM放送の開局には時間と費用がかかります。そこで近兼氏らは、免許不要のミニFM局に着目し、コミュニティFM局の設立を待たずに、1995年7月1日に「FMラルース・78.3MHz」を開局しました。

光と風のステーション

局の呼称「ラルース」は、スペイン語で「光」を意味します。一般公募によって選ばれました。コンセプトは「光と風のステーション」。震災で傷ついた西宮の街に降り注ぐ希望の光と、吹き抜ける爽やかな風をイメージしています。

ハイクオリティな番組

FMラルースの番組内容はレベルが高く、ハイクオリティでした。放送の合間に流れるジングルもプロフェッショナルなものでした。音源はカセットテープを認めないなど、持ち込み素材にも厳しい基準が設けられていました。スタッフは全員ボランティアでしたが、数百名が登録していたと言われています。

在阪FM局関係者がスタッフに多くいたことから、関西の人気DJがレギュラーやゲストとして出演することも多くありました。防災ステーションとしての役割も重視し、台風接近時には防災情報番組に切り替え、携帯電話での現場レポートやバイクによる機動的な取材を行い、新聞やテレビなどのメディアで連日紹介されました。

コミュニティFM局への発展的解消

FMラルースは1998年まで放送を続け、その後、半官半民のコミュニティFM「西宮コミュニティ放送」（さくらFM）に発展的解消しました。

関連書籍

* 『FMラルース999日の奇跡―ボランティアの作ったラジオ局』（1998年、鹿砦社）ISBN 978-4846302849

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