FMレコパル

『FMレコパル』は、小学館から1974年に創刊され、1995年に廃刊となったFM放送番組情報と音楽情報を掲載する雑誌です。

特徴として、アルゼンチン人イラストレーター、ギレルモ・モルディロ氏（誌面では「マルディロ」）のイラストが表紙を飾っていたことが挙げられます。この魅力的なイラストレーションが、雑誌の大きな個性となり、人気を博す要因の一つとなりました。

創刊編集長は、かの有名な『ビッグコミック』の創刊者でもある小西湧之助氏でした。そのためか、『FMレコパル』と姉妹誌の『サウンドレコパル』では、『ビッグコミック』と同じナマズのシンボルマークがマスコットとして使用されていました。

当初はFM放送番組情報を中心とした内容でしたが、1991年には『レコパル』と改題し、音楽CD情報を中心とした総合音楽情報誌へとリニューアルされました。しかし、音楽CDの普及や音楽を楽しむライフスタイルの変化に伴い、FMエアチェックの需要は低下。発行部数も減少の一途をたどることとなり、1995年3月に廃刊という決断に至りました。

その後、2014年には創刊40周年を記念して、雑誌『DIME』の12月号増刊として1号限定で復刊を果たしています。この復刊号は、多くの読者から歓迎され、かつての『FMレコパル』への懐かしさと、雑誌が築き上げてきた歴史の深さを改めて認識させる機会となりました。

『FMレコパル』の魅力の一つとして、豪華作家陣による漫画連載が挙げられます。連載企画「レコパル・ライブ・コミック」では、歴史上著名な音楽家やアーティストの人生を漫画で描いた作品が多数掲載されました。手塚治虫、松本零士、石ノ森章太郎、ジョージ秋山、さいとう・たかを、池上遼一、望月三起也など、そうそうたるメンバーが参加し、その作品群は高い評価を獲得しました。

例えば、さいとう・たかを氏による「オールマン・ブラザーズ」、手塚治虫氏による「雨のコンダクター－レナード・バーンスタイン」、望月三起也氏による「パブロ・カザルス」など、多くの名作が誕生しました。これらの漫画は、音楽家の人となりや作品への理解を深める上で大きな役割を果たし、音楽ファンを魅了しました。

地域版についても触れておきましょう。1974年の創刊時は東版と西版でしたが、1982年にはさらに細分化され、東版は関東版と北海道・東北版に、西版は関西版、中部版、中国・四国・九州版へと分割されました。この地域ごとの情報提供は、より多くの読者層にリーチするための戦略であり、各地域のFM局の情報を網羅した内容でした。1981年当時の掲載局を例に挙げると、東版ではNHK-FMとFM東京、西版ではNHK-FM、FM大阪、FM愛知、FM福岡などが掲載されていました。

タケカワユキヒデ氏によるエッセイ「MORエッセイ」も人気連載の一つでした。ゴダイゴでの活動や音楽に関するエピソードなどを綴ったエッセイは、音楽ファンの間で高い人気を集めました。

『FMレコパル』は、その時代の音楽シーンやFM放送を伝える貴重な資料であり、多くの音楽ファンにとって忘れられない雑誌として記憶されています。音楽史を彩る重要な存在であったと言えるでしょう。

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