FN ブローニングM1910

FN ブローニングM1910

FN ブローニングM1910（FN Browning Model 1910）は、著名な銃器設計者ジョン・ブローニングが手がけ、ベルギーのFN社によって製造された自動式拳銃です。本銃は、先代のFN ブローニングM1900の後継として登場しました。

概要

この拳銃の最大の特徴は、利便性を重視したデザインです。服の陰から迅速に取り出す際に、あまり引っかからないように構築されています。これを実現するため、ハンマーレスのストライカー式撃発機構が採用されており、外部露出部分を減少させています。特に照準器は、スライド上部に僅かな溝を掘り、小型の照星と照門を内蔵しているため、外見上はほとんど目立ちません。照星と照門は固定式です。

また、安全性を確保するために、3つの安全装置が備えられています。スライドキャッチを兼ねたセーフティーレバー、銃把を握らない限り解除されないグリップセーフティー、弾倉を抜くことで強制的に固定されるマガジンセーフティーの3つです。これらのどれかが作動した場合、シアは固定され、トリガーを引けなくなります。

この武器は主に.32ACP弾（7.65x17mm）モデルと、.380ACP弾（9x17mm）モデルの2種類が存在します。前者は8発（弾倉7発+薬室1発）、後者は7発（弾倉6発+薬室1発）の装弾数を有しています。

受け入れられた理由

FN ブローニングM1910はそのコンパクトで軽量なデザインに加え、信頼性と性能の高さも相まって、多くの国で親しまれました。特にその美しい外観は評価され、輸出が進みました。この結果、20世紀前半のベストセラー拳銃の一つとして名を馳せ、1983年までの約70年間にわたり生産され続けました。興味深いことに、サラエボ事件において、オーストリア皇太子夫妻に対する暗殺に使用されたのもこのモデルであり、その時使用された銃は現在、パリ警視庁の博物館に展示されています。

派生型

FN ブローニングM1910からは、いくつかの派生型が登場しました。例えば、M1922は銃身が25mm延長されるなど改良がなされ、装弾数も増加しました。M1955やM1971といったモデルも存在し、後者はさらに機能を追加しています。

また、ドイツのDWM社が製造したクローンや、スペインのアストラ社が手がけたモデルもあります。日本では、浜田式自動拳銃やニューナンブM57Bといった国産品が開発されるなど、影響を与えました。

採用国

主にヨーロッパで制式採用されましたが、それだけでなく、幅広い地域に輸出されました。ただし、当時は拳銃の携行が比較的自由であったため、正確な使用国の特定は難しいと言えます。日本では、第二次世界大戦が起こる前に多くの.32ACPモデルが輸入され、特に帝国陸軍の将校たちに人気がありました。このトレンドは、自衛のための選択肢として特に顕著でした。

戦後も多くの法執行機関で採用され、様々な用途に応じた運用が行われました。

学びとまとめ

FN ブローニングM1910は、そのデザインの美しさと実用性、信頼性から現在も多くの支持を集めています。歴史的にも重要な役割を果たし、数々の派生モデルを生んできたこの拳銃は、今後も多くの人々に語り継がれることでしょう。

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