FOREIGNER

麻倉未稀『FOREIGNER』詳細

麻倉未稀の通算8枚目となるオリジナルアルバム『FOREIGNER』は、1985年10月21日にCRYSTAL BIRD/キングレコードよりリリースされました。アルバムタイトルに冠された「フォーリナー（FOREIGNER）」は「外国人」を意味し、その名の通り、本作は外国人ソングライターによって書かれた楽曲を中心に構成されています。

このアルバムは、当時の洋楽ヒットや話題曲のカバーを中心に据えつつ、麻倉未稀自身のパワフルかつ情感豊かな歌唱スタイルを存分に活かした作品となっています。ロックやダンスポップといった現代的なサウンドを取り入れながら、多くの楽曲で麻倉自身が訳詞を手がけている点も大きな特徴です。これにより、単なるカバーに留まらず、彼女自身のフィルターを通した解釈が加えられ、作品に深みを与えています。

収録曲は全10曲。中でも特に注目されるのは、LPのSide Aの2曲目に収められた「RUNAWAY」です。これはアメリカのロックバンド、ボン・ジョヴィのデビュー曲をカバーしたもので、同年春に麻倉未稀の13枚目のシングルとして先行リリースされ、TBS系テレビドラマ『乳姉妹（ちきょうだい）』の主題歌として大ヒットを記録しました。この「RUNAWAY」は、アルバムの中でも特に象徴的な楽曲と言えるでしょう。

その他の収録曲にも、多彩なカバーが含まれています。LPのSide Aの1曲目「HOSANNA GLORIA」は、クリスチャン・ポップ界で活動していた夫婦デュオ、ファレル・アンド・ファレル（Farrell And Farrell）が1984年に発表したアルバム『Choices』収録曲のカバーです。また、Side Aの3曲目「NIGHT BIRD 〜PUMP IT UP〜」は、同時期にアメリカでリリースされたエクササイズビデオ『Body By Jake - DON'T QUIT』のサウンドトラックに収録されていた「Pump It Up」をカバーしたものです。さらに、Side Bの最後の曲「MONOCHROME」は、キリンビール「プレミアム」のCMソングとして使用され、広く知られることとなりました。これらの楽曲からも、当時の洋楽シーンやメディアとの連携を意識した選曲であることがうかがえます。

以下に全収録曲のリストをまとめました。オリジナル楽曲の作者に加えて、麻倉未稀を含む訳詞家、そしてサウンドを構築した編曲家の名前も確認できます。

HOSANNA GLORIA (訳詞: 麻倉未稀 / 編曲: 佐藤準)
RUNAWAY (ボン・ジョヴィのカバー / 訳詞: 松井五郎 / 編曲: 戸塚修)
NIGHT BIRD 〜PUMP IT UP〜 (訳詞: 麻倉未稀 / 編曲: 佐藤準)
TURNING POINT (訳詞: SHOW / 編曲: 佐藤準)
TWILIGHT TIME (作詞: 麻倉未稀 / 作曲: MICHAEL LIN / 編曲: 冨田二郎)
FIRE BALL (作詞: 阿部孝夫, 麻倉未稀 / 作曲: JOEY CARBONE / 編曲: 冨田二郎)
MAGIC GAME (作詞: 麻倉未稀 / 作曲: MICHAEL LIN / 編曲: 冨田二郎)
SAY GOOD NIGHT (訳詞: 森浩美 / 編曲: 佐藤準)
HEART-ACHE (作詞: SHOW / 作曲: JOEY CARBONE / 編曲: 戸塚修)
MONOCHROME (作詞: 麻倉未稀 / 作曲: MICHAEL LIN / 編曲: 戸塚修)

※作詞・作曲はオリジナル版に基づいています。

アルバム制作には、当時の日本の音楽シーンを牽引する多くの著名なミュージシャンが参加しています。ライナーノーツによると、主な参加メンバーは以下の通りです。

Drums: 青山純、宮崎全弘、藤井章司
Bass: DAREK JACSON、美久月千晴、長岡道夫
Guitar: 松原正樹、北島健二、土方隆行、幾見雅博
Keyboards: 国吉良一、中西康晴、永田一郎、冨田二郎
Synthesizer: 佐藤準、永田一郎、冨田二郎
Operator: 北城浩志、植竹敏之、小山田祐治、根岸貴幸、野口たかし
Horn Section: 兼崎順一 (Trumpet), 小林正弘 (Trumpet), 早川隆章 (Trombone), 土岐英史 (Tenor sax), 淵野繁雄 (Tenor sax)
Vocal: 新井正人 (#8)
* Chorus: EVE、木戸やすひろ、比山清、小出博志、東郷昌和、新倉芳美、DAREK JACSON、佐藤準

これらの豪華な布陣が、アルバム全体の骨太なサウンドを支えています。

アナログ盤やカセットテープ、CDといった物理メディアでのリリースに加え、2023年2月3日には音楽配信も開始され、時代を超えて多くのリスナーがこの作品に触れる機会を得ています。『FOREIGNER』は、麻倉未稀のキャリアにおいて、当時の洋楽テイストを取り入れつつ、自身のヴォーカルスタイルを確立していった重要な時期を象徴するアルバムと言えるでしょう。

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