Fw 62 (航空機)

フォッケウルフ Fw 62の概要

フォッケウルフ Fw 62は、ドイツ海軍のためにフォッケウルフ社が設計・製造した水上偵察機です。この機体は、1940年代の航空機の進化の中で重要な役割を果たしながらも、わずか4機しか製造されなかったため、その存在は非常に珍しいものとなっています。

開発の経緯

1936年、ドイツ航空省は新たな艦載水上機の要求仕様を発表しました。この新型機は、偵察任務を担うことを目的としており、搭乗員は1名または2名、カタパルトからの射出が可能で、軽量であることが求められました。最大重量は2.5トンとされ、武装は最小限に留められました。航空省は、複数の企業から提案を受けた結果、アラド社のAr 196とフォッケウルフ社のFw 62に試作を命じました。

フォッケウルフ社は保守的なデザインを取り入れたFw 62を完成させました。この機体は、BMW 132K星型エンジンを搭載し、2枚ブレードプロペラを駆動します。特徴的なN字形の支柱を持つ主翼は折り畳み可能で、各翼にはフラップとエルロンが設けられていました。1937年10月23日には初飛行を果たしました。

試作機と評価

Fw 62の試作機は、初号機と2号機が双フロートの形状であり、3号機と4号機は中央フロートと小型の安定用フロートを装備していました。1938年1月にはトラフェミュンデで公式試験が行われ、テストパイロットたちから高い評価を受けましたが、フロート機としての競争相手であるアラド Ar 196の優れた性能により、量産機は最後にこちらが選ばれることとなりました。

その後、Fw 62の試作機は特に着水時の負荷を軽減するためのフロート構造に注目され、さらなる評価が行われたものの、正式な配備には至りませんでした。

機体の規格とスペック

• - 乗員: 2
• - 全長: 11.15 m（36.6 ft）
• - 全高: 4.30 m（14.1 ft）
• - 翼幅: 12.35 m（40.5 ft）
• - 空虚重量: 2,158 kg（4,760 lb）
• - 運用時重量: 2,875 kg（6,340 lb）
• - 動力: BMW 132Dc 空冷星型エンジン（656 kW / 945 hp）

性能

• - 最大速度: 280 km/h（170 mph）
• - 巡航速度: 265 km/h（165 mph）
• - 航続距離: 900 km（560 mi）
• - 上昇率: 6.33 m/s（1,246 ft/min）

武装

• - 固定武装: 1 x 7.92 mm MG 17 機関銃（後部座席）
• - 爆弾: 最大4 x 50 kg SC 50爆弾

Fw 62は、当時の技術を駆使した偵察機として、短い歴史の中に多くの技術的特色を残しましたが、その製造数の少なさから、航空機軍事史の中ではあまり知られることがありません。競争相手であったアラド Ar 196に対する劣位が最終的な運命を左右したとも言えるでしょう。

もう一度検索