Gシリーズ (小説)

森博嗣 『Gシリーズ』

『Gシリーズ』は、森博嗣が講談社から刊行している推理小説シリーズです。シリーズ名は、ギリシャ文字（Greek）に由来すると言われています。

シリーズ概要

従来のノベルス版とは異なり、Gシリーズは1段組で構成されています。各作品は約300ページ程度と、比較的コンパクトな文量が特徴です。S&Mシリーズ、Vシリーズに続いて発表され、Xシリーズとは同時進行で刊行されました。全12作で完結することが、作者のウェブサイト「浮遊工作室」で告知されています。

物語は、加部谷恵美が遭遇した事件を、海月及介が解説するという形式で進行します。シリーズが進むにつれて、S&Mシリーズの西之園萌絵や犀川創平、Vシリーズの瀬在丸紅子など、他のシリーズの探偵キャラクターも頻繁に登場し、群像劇の様相を呈していきます。加部谷は、物語の狂言回しのような役割を担っています。

各作品は独立した事件を扱わず、シリーズ全体を通して一つの大きな物語が展開されるのが特徴です。刊行順に物語が進み、時系列も大きく進むことがあります。

S&Mシリーズ、Vシリーズ、四季シリーズといった、森博嗣の他のシリーズとも世界観を共有しており、特に後半は『百年シリーズ（およびWシリーズ）』との関連性が深まります。Wシリーズとの関係性は、作者自身によって明言されています。

主な登場人物

加部谷恵美（かべや めぐみ）: 私立C大学の学生。S&Mシリーズの『幻惑の死と使途』で初登場。明るい性格で、自身を客観的にツッコミを入れる一面も。大学生に見えない幼い外見とアニメ声が特徴で、周囲からからかわれることもあります。萌絵に憧れており、彼女の言動を観察しています。海月の表情を読み取れる数少ない人物の一人。後に三重県庁の職員となり、建築学会員となります。
山吹早月（やまぶき さつき）: 私立C大学の大学院生。『四季 秋』で初登場。温和で面倒見が良く、人付き合いが得意。同人誌好きの姉がいます。加部谷からは「自殺する時は1人で樹海に入るタイプ」と思われており、Sっ気があるとも評されています。白刀島出身で、海月とは中学校で1年間だけ同級生でした。海月の表情を読み取れる人物の一人。大学院では犀川の研究室に所属。後に三重県M大学の助教授となり、加部谷と同じ町に住んでいます。
海月及介（くらげ きゅうすけ）: 私立C大学の学生。山吹と同い年ですが、3年間海外で過ごしたため、加部谷と同学年です。博識で感情の起伏が少なく、普段からノンフィクションを愛読しています。無口ですが、話す時は理路整然としています。作中では、事件の真相を語る役割を担います。好きな料理はカレー。よく山吹の部屋に泊まっています。山吹によると、たまに1週間ほど行方不明になることがあります。萌絵に興味を示す素振りを見せることがあり、加部谷はそのことを気にしています。西之園萌絵や反町愛からは、犀川創平との共通点を指摘されています。後に萌絵を追うように東京W大学に転入し、同じ研究室に在籍します。
雨宮純（あめみや じゅん）: 加部谷の同級生で友人。美人で明るい性格。『ηなのに夢のよう』から登場。東海四県ネットのテレビ局に就職し、レポーターとして活躍しています。那古野在住。
沓掛（くつかけ）: 警視庁の警部。公安に所属し、真賀田四季を追っています。
赤柳初朗（あかやなぎ はつろう）: 中年の私立探偵。初登場時は胡散臭い雰囲気でしたが、舟元と同じアパートに住んでいることから、次第に加部谷たちと打ち解けていきます。ギリシャ文字の関連性を調べるうちに真賀田四季に興味を持ち、独自に調査を進めています。保呂草とは旧知の仲で、瀬在丸紅子とも面識があります。
椙田泰男（すぎた やすお）: 美術品鑑定人。赤柳の知人。Xシリーズにも登場。
国枝桃子（くにえだ ももこ）: 私立C大学の助教授。犀川より4歳年下。S＆Mシリーズの頃と比べて、感情が表に出やすくなっています。ケーキが好き。
反町愛（そりまち あい）: N大病院の研修医。萌絵とは高校の同級生で、1年浪人したため萌絵と同級。『幻惑の死と使途』から登場。通称ラブちゃん。
金子勇二（かねこ ゆうじ）: 萌絵の同級生。萌絵より1歳年上。『詩的私的ジャック』から登場。建設会社に就職し、海外勤務を経て髭を生やすようになりました。
島田文子（しまだ あやこ）: 真賀田研究所で主任を務めていた研究員、プログラマ。S＆Mシリーズの『すべてがFになる』『有限と微小のパン』に登場。Gシリーズでは『キウイγ（ガンマ）は時計仕掛け』から登場。日本科学大学の助教授を経て、香港に移住。
瀬在丸紅子（せざいまる べにこ）: 自称・引きこもりの科学者。萌絵や真賀田四季について情報交換をしています。警察に協力要請されることもあります。
西之園萌絵（にしのその もえ）: 国立N大学ドクターコースの学生。国枝との共同研究のため、ほぼ毎日C大学の国枝ゼミに出入りしています。後に東京W大学で准教授となります。過去の経緯から、警察に捜査協力を依頼されています。S&Mシリーズでは解決していない自身の過去と向き合うことになります。
犀川創平（さいかわ そうへい）: 国立N大学建築学科の助教授。萌絵に巻き込まれ、事件解決に協力することが多い。真賀田四季関連の事件に関して、警視庁公安に協力しています。
真賀田四季（まがた しき）: シリーズの鍵を握る存在。『すべてがFになる』で起きた事件の影響で、世間から再び注目を浴びています。

その他、S&Mシリーズ、Vシリーズからの人物も登場します。

シリーズ作品一覧

φ（ファイ）は壊れたね
θ（シータ）は遊んでくれたよ
τ（タウ）になるまで待って
ε（イプシロン）に誓って
λ（ラムダ）に歯がない
η（イータ）なのに夢のよう
目薬α（アルファ）で殺菌します
ジグβ（ベータ）は神ですか
キウイγ（ガンマ）は時計仕掛け
χ（カイ）の悲劇
ψ（プサイ）の悲劇

各作品の簡単なあらすじは省略します。詳細は原文を参照してください。

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