G1 (銃)

G1突撃銃：西ドイツ初の主力小銃

G1突撃銃（Sturmgewehr G1）は、ベルギーのFN社が製造したFN FAL小銃をベースに、西ドイツ連邦軍向けに開発されたアサルトライフルです。1956年に連邦軍の最初の主力歩兵銃として採用されましたが、国産化が認められなかったため、1959年にはG3突撃銃に後を譲り、1960年代初頭には更新が完了しました。連邦軍以外にも、機動隊や連邦国境警備隊でも使用されました。

歴史

G1の原型となったFN FAL小銃は、20世紀の西側諸国で広く採用されたアサルトライフルで、少なくとも70カ国で採用されています。FN FALの設計を主導したデュドネ・セイブ技師は、SAFN 49の設計にも携わっており、両銃には設計上の類似点が見られます。

1955年に発足したドイツ連邦軍は、当初、連合国から装備の供与を受けていました。小銃はアメリカ製のM1ガーランドやM1カービン、空軍訓練連隊向けにはイギリス/カナダ製のNo.4 Mk I（カナディアン・ライフル）などが配備されていました。しかし、1957年に予定されていた最初の徴兵に対応するためには、火器が不足することが明らかでした。また、現有の外国製火器の多くが第二次世界大戦時のものであり、旧式化していたことも課題でした。そこで、NATO標準小銃の有力候補であり、早期の大量調達が可能であったFN FALが、新たな主力小銃に選定されました。

FN社は、G1として納入するFAL小銃10万丁に対し、ドイツ側の要望に応じた設計変更を加えました。しかし、第二次世界大戦の経験から、ドイツ国内でのライセンス生産は認められませんでした。このため、連邦軍は国産化可能な製品によるG1の更新を検討することになりました。

1957年、連邦軍は新たな主力小銃として、スペイン製セトメ・ライフル（G3突撃銃の原型）を採用する方針を発表しました。1959年からG3突撃銃への更新が始まり、G1は1962年頃まで使用されました。余剰となったG1は、機動隊や連邦国境警備隊に払い下げられたほか、諸外国にも売却されました。

オーストリア連邦軍では、G1をさらに改良したモデルをStG58として採用しています。

構造

G1は、ショートストロークピストン式・ティルトボルト式の作動方式を持つ自動小銃です。閉鎖バネはピストン部に設けられています。また、ガス圧を調整する規整子が装備されています。箱型着脱式弾倉には、7.62x51mm NATO弾を20発装填できました。

オリジナルのFALと比較すると、新型ファイアリングピンや2ピース式抽出子などが組み込まれている点が主な違いです。外装部品としては、溝が刻まれた板金製ハンドガードや、銃身に直接取り付けられた折りたたみ式二脚が特徴的です。二脚は軽量でしたが、着脱にはドライバーが必要でした。また、照準時の頭部被弾率を低減するため、ドイツ側の強い要求により、照準位置が3mm低く調整されました。

銃身には着剣装置が設けられていましたが、使用されることはほとんどありませんでした。

運用国

西ドイツ
トルコ
ポルトガル領アンゴラ
* ローデシア

まとめ

G1突撃銃は、西ドイツ連邦軍の初期を支えた重要なアサルトライフルですが、国産化の問題から短期間で更新されました。しかし、その基本設計は、後のG3突撃銃やオーストリアのStG58などに影響を与え、今日でもその歴史的意義は大きいと言えるでしょう。

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