GAU-19

GAU-19/A：アメリカ軍の重機関銃

GAU-19/Aは、ゼネラル・エレクトリック社（GE）が開発した12.7mm口径のガトリング式重機関銃で、アメリカ軍に正式採用されています。GE社における製品名はGECAL 50です。主に車両、艦船、航空機への搭載運用を想定した設計となっています。

開発の経緯

ジェット機の登場に伴い、航空機関砲の火力向上ニーズが高まりました。GE社はガトリング砲に着目し、M61 バルカン（20mm）を開発、製品化（1957年）。その技術を基に、様々な口径や銃身数を持つバリエーションを開発しました。

12.7mm弾を使用するモデル（GAU-6）も開発されましたが、当初計画されていた10mm弾の実用化が頓挫したため、1挺の試作機製作にとどまりました。一方、7.62mm弾仕様のGAU-2B/A ミニガンは1964年に実戦配備され、ヘリコプターのドアガンとして広く使用されました。しかし、有効射程や貫通力の不足が課題でした。

ブローニングM2重機関銃は射程と貫通力の問題を解決しましたが、発射速度と精度に課題が残りました。1980年のアメリカ海兵隊兵器会議では、発射速度調整可能な汎用ヘリコプター搭載兵器の必要性が提起され、これを受けてGAU-19/Aの開発が始まりました。1983年の試作を経て、1984年に1万発の試射を実施。1992年にアメリカ国防総省がGECAL 50をGAU-19/Aとして制式採用しました。

構造

GAU-19/Aは、GE社が先行開発したGAU-8/Aをベースに、弾薬を12.7×99mm弾に変更したモデルです。6銃身モデル（最大発射速度8,000発/分）と3銃身モデル（最大発射速度4,000発/分）が開発され、制式採用されたのは軽量な3銃身モデルです。

ガトリングガン構造に基づき、各銃身は個別の遊底を持ち、外部動力によるローター回転で射撃を行います。ハウジング内壁のカム経路に沿って遊底が可動し、送弾、装填、閉鎖、開放、抽筒、蹴出の工程を繰り返します。動力源は電動機が標準ですが、ガス圧作動方式や航空機エンジンの抽気も利用可能です。給弾方式はリンクレス式とM9リンク式に対応し、リンク除去機構も備えています。

実装

航空機

アメリカ軍では、オスプレイへの搭載が検討されましたが、装備化には至りませんでした。ARH-70ヘリコプターへの搭載計画も2008年に中止となりました。コロンビアとチュニジア向けUH-60の一部機体にはGAU-19/Aが搭載されています。

艦船

日本の海上保安庁のかがゆき型巡視艇（平成18年度以降建造）には、GAU-19/Aが単装マウントと赤外線捜索監視装置との連動による目標追尾型遠隔操縦機能（RFS）を備えたシステムとして搭載されています。

車両

アラブ首長国連邦（UAE）では、ハンヴィーへの搭載運用が行われています。

登場作品

GAU-19/Aまたは、その設計思想を反映した類似の兵器は、様々なアニメ、漫画、ゲーム作品に登場しています。代表的な例として、『機動警察パトレイバー 2 the Movie』『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』『グランド・セフト・オートシリーズ』『コール オブ デューティシリーズ』などが挙げられます。これらの作品では、名称やデザイン、性能などが異なって描写されている場合もあります。

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