GAZ-66

GAZ-66：ソ連が生んだ万能軍用トラック

GAZ-66は、1960年代にソビエト連邦のゴーリキー自動車工場（GAZ）で開発された4x4輪駆動のキャブオーバー型軍用トラックです。その卓越した性能と汎用性から、ソ連軍をはじめとする多くの国で、兵員輸送から物資運搬、特殊用途まで幅広く活用されました。

開発の背景と特徴

GAZ-66は、GAZ-62およびGAZ-63の後継として開発され、1964年に量産が開始されました。キャブオーバー型を採用したことで、全長を抑えながらも広い荷台面積を確保し、優れた機動性を実現しています。また、悪路走破性を高めるために、4輪駆動システムやタイヤ空気圧自動調整システム（CTIS）を搭載したモデルも存在します。

1966年のモスクワでの展示会で金賞を受賞し、その優秀性が認められました。

幅広い運用と派生車種

GAZ-66は、ソ連国内だけでなく、中東やアフリカなどの東側諸国にも輸出され、軍事・民間の両方で活躍しました。ソ連崩壊後もロシア連邦軍で使用され続けましたが、後継車種のGAZ-3308の登場により生産は縮小され、1999年に生産を終了しました。

GAZ-66は、その汎用性の高さから、多種多様な派生車種が開発されました。基本形式に加え、ウィンチの有無、CTISの有無、電装部のシールドの有無などによって細かく分類されます。また、以下のような特殊車両も存在します。

AP-2、AS-66: 軍用救急車
ASO-12: 消防車
DDA-2: 消毒・除染車
GZSA-731, 983A, 947, 3713, 3714: 各種ショップバン（郵便、食料、薬剤輸送など）
R-142N: 無線指揮車
MZ-66: 燃料タンカー
BM-21V グラートV: 空挺部隊向け122mm多連装ロケット砲搭載車両

中には、荷台にZU-23-2やZPU-4などの対空機関砲を搭載したガントラックも存在し、対空 defense にも用いられました。

各形式

GAZ-66-1: 基本型
GAZ-66A: ウィンチ搭載型
GAZ-66B: 空挺部隊向け、キャブの屋根とフロントガラスが折り畳み可能
GAZ-66D: パワーテイクオフ機能付き
GAZ-66E: 電装シールド付き
GAZ-66-01: CTIS装備の基本型
GAZ-66-11: 改良基本型
GAZ-66-16: エンジン換装、積載量増加型
GAZ-66-41: ディーゼルエンジン換装型
GAZ-66-92: 寒冷地仕様

登場作品

GAZ-66は、映画やゲームなどの様々なメディアにも登場しています。

映画『エクスペンダブルズ2』では、悪役の武装集団が使用。
漫画『ヨルムンガンド』では、民兵組織の車両として登場。
ゲーム『コール オブ デューティ』シリーズでは、ソ連軍やパナマ国防軍の兵員輸送車両として登場。

まとめ

GAZ-66は、ソ連の軍事力を支えただけでなく、様々な分野で活躍した汎用性の高いトラックです。その堅牢な構造と優れた機動性は、多くの国で高く評価され、現在でも現役で使用されている車両が存在します。ソ連の技術力を象徴する一台と言えるでしょう。

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