ZU-23-2

ZU-23-2 23mm連装機関砲：歩兵部隊を支援する汎用性の高い対空兵器

ZU-23-2は、ソビエト連邦で開発された牽引式の23mm口径連装対空機関砲です。GRAUインデックスは2A13。低空を飛行する航空機に対する防空を主任務としていますが、地上目標への攻撃にも使用できる汎用性の高さが特徴です。

開発と設計

14.5mm ZPU-1/2/4対空機関銃の後継として開発され、1960年にソ連軍に制式採用されました。2門の23mm口径2A14機関砲を搭載し、ガス圧作動方式による高い連射速度を発揮します。砲架は二輪式で、牽引状態から射撃準備まで約30秒で移行できます。緊急時には牽引状態のまま射撃することも可能です。

照準は手動で行いますが、改良型では電動旋回機構が搭載され、より迅速な目標捕捉が可能になっています。ZAP-23光学機械式照準器を使用することで、正確な対空射撃を実現できます。また、地上目標攻撃用のT-3対地射撃用照準器も装備しています。

生産と運用

ソ連では約14万基が生産された他、ブルガリア、ポーランド、エジプト、中国などでライセンス生産が行われました。牽引にはGAZ-66やGAZ-69などの四輪駆動トラックが用いられることが一般的です。

ZU-23-2の開発成功は、後のZSU-23-4シルカ自走対空砲の開発に繋がりました。

実戦での活躍

ソ連のアフガニスタン侵攻では、ZU-23-2をトラックに搭載した即席の自走砲（ガントラック）が、ZSU-23-4シルカと共に基地警備や輸送部隊の護衛に投入されました。山岳地帯に潜むムジャーヒディーンに対する有効な対抗手段となり、彼らにとって恐るべき兵器の一つとなりました。

ソ連軍撤退後、アフガニスタンに残されたZU-23-2は、ムジャーヒディーンによって再利用され、ソ連軍の航空攻撃への対抗手段として使用されました。アフガニスタン紛争では、ターリバーンと北部同盟の両勢力が、対空ミサイルと組み合わせて防空戦力として運用しました。

ロシア連邦軍では、旧式化に伴い対空ミサイルや自走式対空砲への更新が進んでいますが、軽量であるため空挺部隊などで現在も使用されています。また、安価で扱いやすく、耐久性が高いという特徴から、旧共産圏を中心に多くの国で使用され続けています。正規軍だけでなく、重火器が不足しがちな武装勢力も、軽車両で牽引したり、トラックに搭載して運用しています。

テクニカルとしての活用

ZU-23-2は、トラックの荷台に搭載して「テクニカル」として運用されることが多く、対空兵器としてだけでなく、地上目標への火力支援にも用いられます。MT-LB汎用装甲車やM113装甲兵員輸送車の屋根に搭載して、簡易的な自走対空砲や歩兵戦闘車として使用される例もあります。アフガニスタンでは、BMP-1歩兵戦闘車の砲塔を取り外し、代わりにZU-23-2を搭載した車両も存在します。

レバノン内戦では、多国籍軍として参加していたアメリカ海兵隊がZU-23-2による攻撃を受けました。海兵隊は、ZU-23-2のような大口径機関砲を対人射撃に使用することは非人道的であると批判しましたが、後にこの見解は誤りであると指摘されました。リビア内戦やシリア内戦でも、ZU-23-2はテクニカルに搭載され、対空兵器や地上目標攻撃に使用されています。

派生型

ZU-23：ソ連製のオリジナル。
ZU-23M：ソ連製の改良型。レーザー測距儀、パッシブ赤外線式ナイトビジョン、電動旋回機構を搭載。
ZU-23-2：ポーランド製。電動式旋回装置と電子式照準装置を搭載。
ZUR-23-2S Jod：ポーランド製の改良型。ZU-23-2にストレラ-2M地対空ミサイルの発射機を搭載。
ZUR-23-2KG Jodek-G：ZUR-23-2Sの改良型。地対空ミサイルをポーランド国産のGROMに換装。
Hibneryt：ZU-23-2をポーランド製Star 266トラックに搭載した自走式対空砲。
23 ItK 95：フィンランド製の改良型。
85式：中国製のZU-23-2。
87式：中国製の改良型。口径を25mmに拡大。
Mesbah 1：イランが開発した防空システム。ZU-23-2を4基搭載。
ZU-23-6：イランがZU-23機関砲を6門搭載したもの。

登場作品

ZU-23-2はその汎用性の高さから、多くのゲームや映画に登場します。

ヨルムンガンド
ARMA 2
Digital Combat Simulator
Just Cause
エースコンバット アサルト・ホライゾン
コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア
バトルフィールドシリーズ
マーセナリーズ2 ワールド イン フレームス
メタルギアソリッド3

採用国

ZU-23-2は、現在も世界中の多くの国で採用されています。正規軍だけでなく、非正規武装勢力も使用しているのが特徴です。

ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、フィンランド、ギリシャ、ハンガリー、ポーランド、セルビア、アルジェリア、カーボベルデ、エジプト、エチオピア、ガボン、ギニアビサウ、リビア、モロッコ、モザンビーク、ナイジェリア、タンザニア、ウガンダ、ジンバブエ、アフガニスタン、イラン、イラク、レバノン、オマーン、パキスタン、イエメン、シリア、中国、北朝鮮、バングラデシュ、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、ベトナム、モンゴル、スリランカ、キューバ、ニカラグア、ペルー、ロシア、タジキスタン、ウクライナ、アルメニア、エストニア、モルドバ、ジョージアなど。

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