GIG 25

日本のフュージョンシーンを牽引するバンド、カシオペアの通算39作目のアルバムとしてリリースされたのが、ライブ盤『GIG25』（ギグ25）です。この作品は、バンドがデビュー25周年を迎えた記念すべき年、2004年7月に東京のShibuya O-EASTで開催されたスペシャルライブの模様を収めたもので、聴きごたえ十分な2枚組の構成となっています。

本作の特筆すべき点は、そのユニークな選曲コンセプトと構成にあります。アルバムに収録されている楽曲は、カシオペアのデビューからライブが開催された2004年までの25年間を振り返り、それぞれの年から代表的あるいは象徴的な一曲ずつが選ばれています。そして、これらの選ばれた楽曲は、発表された年代順に並べられ、演奏されています。これにより、リスナーはまるで時間を旅するように、カシオペアの音楽性の変遷やサウンドの進化を時系列で追体験することができる、非常にコンセプトが明確なライブアルバムとなっています。

ライブパフォーマンスを担ったのは、当時のカシオペアのレギュラーメンバーである、ギターの野呂一生、キーボードの向谷実、そしてベースの鳴瀬喜博です。さらに、彼らを強力にサポートするのは、かつてカシオペアのメンバーとしても活躍した名ドラマー、神保彰です。この布陣による演奏は、長年のキャリアに裏打ちされた円熟味と、記念ライブならではの熱気が融合した素晴らしいものです。

アルバムの制作面においては、プロデュースはバンド自身であるカシオペアが行っています。レコーディングとミキシングのエンジニアは倉石裕治が担当しました。ライブ会場の熱気や各メンバーの緻密かつダイナミックな演奏は、彼らの手によって丁寧に捉えられ、パッケージされています。

『GIG25』は単なるライブの記録というだけでなく、カシオペアというバンドの四半世紀にわたる音楽活動の軌跡を辿るドキュメントとしての側面も持っています。初期のフレッシュなサウンドから、円熟期を経てなお進化を続ける彼らの幅広い楽曲群を、当時のライブの空気感と共に楽しむことができる貴重な作品です。特に年代順に聴き進めることで、バンドの歴史や音楽的な変化を深く理解することができるでしょう。

このアルバムは、カシオペアの熱心なファンにとっては待望のライブ音源であり、また彼らの音楽に初めて触れるリスナーにとっては、そのキャリアを概観する上で理想的な入門編ともなり得ます。ライブでの圧倒的な演奏力と、バンドの持つポジティブなエネルギーが詰まった本作は、日本のフュージョン史における重要な一ページを刻む作品と言えるでしょう。収録されている楽曲は、その年の代表曲というコンセプトから、多くのファンに愛される名曲揃いであると推測されます。クレジット情報としては、上述の参加ミュージシャンとエンジニアに加え、バンド自身がプロデューサーとして名を連ねています。

カシオペアの25年の歩みが凝縮されたこの記念碑的アルバムは、彼らの音楽を愛するすべての人々にとって、繰り返し聴きたくなる価値ある一枚です。楽曲が生まれた時代背景やバンドの当時の様子を想像しながら聴くことで、より一層深い感動が得られることでしょう。

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