GJ 1002

GJ 1002：近傍の赤色矮星と二つの惑星

GJ 1002は、地球から約15.8光年離れたくじら座の方向にある、太陽系近傍の赤色矮星です。見かけの明るさは14等級と非常に暗く、肉眼で観測することはできません。この恒星の周りには、2つの太陽系外惑星が公転していることが知られています。

発見と特徴

この恒星は、パロマー天文台の観測によって、大きな固有運動を持つ星として発見されました。1971年に初めて年周視差が測定され、その値は224±8ミリ秒角とされました。その後、ガイア計画によるデータリリース第3版では、約206.35ミリ秒角という値が示されています。当時、太陽系から5パーセク（約16.3光年）以内にある既知の恒星としては、最も暗い天体の1つでした。

GJ 1002は、質量が小さい赤色矮星としては活動が比較的穏やかです。自転速度（v sin i）は3 km/s以下と検出できないほど遅く、電磁スペクトルの活動性指標も低い値を示しています。2014年の研究では、15個の赤色矮星の中で、GJ 1002の活動性指標は、最も低いGJ 1061に次いで、GJ 3128と並んでほぼ最低水準でした。

惑星系

GJ 1002の周りを公転する2つの太陽系外惑星は、2022年にドップラー分光法を用いて発見されました。どちらも地球に近い下限質量を持ち、GJ 1002のハビタブルゾーン内を公転しています。これらの惑星は、現在の技術ではトランジットを起こさないため観測は難しいですが、将来的に欧州超大型望遠鏡（E-ELT）のANDESスペクトログラフなどの新しい機器を使用すれば、惑星の大気の存在や組成を調べることができる可能性があります。

その他

GJ 1002は、変光星総合カタログにおいて、変光が疑われる恒星が掲載される「NSVカタログ」に掲載されています。しかし、明確な変光は観測されていません。この恒星は、その静穏な性質と近さから、今後の惑星観測において注目される存在となるでしょう。

脚注

参考文献

関連項目

近い恒星の一覧

外部リンク

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