GJ 1061

GJ 1061：近傍の赤色矮星と惑星系

GJ 1061は、地球から見てとけい座の方向に約12光年離れた場所に位置する赤色矮星です。この恒星は比較的近隣にありますが、見かけの明るさは約13等級と非常に暗いため、観測にはある程度の性能を持つ望遠鏡が必要となります。

特徴

GJ 1061の固有運動は1974年から知られていましたが、当時の観測データに基づいた推定距離は約25光年と、現在考えられている距離よりも遠いものでした。1997年、RECONSのチームによってより正確な距離が測定され、太陽系から20番目に近い恒星として知られるようになりました。ただし、このチームは今後さらに近い恒星が発見される可能性も指摘していました。

GJ 1061は、非常に小さく暗い赤色矮星であり、その質量は太陽の約12％、光度はわずか0.17％です。これは恒星としての質量の下限に近い値です。他の赤色矮星と比較して、GJ 1061はフレアなどの恒星活動が比較的安定しており、活動的ではないと考えられています。また、伴星や星周円盤による赤外線の過剰な放射は観測されていません。

惑星系

2019年8月、ヨーロッパとチリの研究者グループによって、GJ 1061を公転する3つの太陽系外惑星候補が発見されました。これらの惑星候補は、GJ 1061 b、GJ 1061 c、GJ 1061 dと名付けられました。この発見は、赤色矮星の周りの惑星を探す「Red Dotsプロジェクト」の一環として、チリのラ・シヤ天文台にあるHARPS分光器を用いた観測によって成し遂げられました。

これらの惑星候補は、それぞれ3.20日、6.69日、13.0日（または12.4日）の公転周期を持ち、質量は地球の1.4倍、1.8倍、1.7倍と推定されています。ただし、ドップラー分光法の特性上、これらの質量はあくまで下限質量であり、実際の質量はこれよりも大きい可能性があります。

観測では、GJ 1061の視線速度に5つの異なる成分が検出されました。このうち、3つの惑星に起因しない周期56日と130日の成分は、恒星本体の活動に由来する可能性が指摘されています。

最も外側の惑星であるGJ 1061 dは、13.0日と12.4日の2つの公転周期を持つ可能性があり、これは観測データに基づいた推定の不確かさに起因します。どちらが真の周期であるかは今のところ不明ですが、どちらの周期でも、この惑星は液体の水が存在しうるハビタブルゾーン内に位置することから注目されています。また、GJ 1061 cもハビタブルゾーンの内縁付近を公転している可能性が示唆されています。

GJ 1061は、その近さと惑星系の存在により、今後の研究対象として非常に興味深い天体と言えるでしょう。

関連情報

近い恒星の一覧: GJ 1061は、太陽系に比較的近い恒星の一つです。
グリーゼ357: 別の赤色矮星で、惑星系を持つことで知られています。
ウォルフ1061: 同じく近傍の赤色矮星で、複数の惑星が発見されています。

外部リンク

SolStation.com GJ 1061 (英語)

もう一度検索