GNU TeXmacs

GNU TeXmacsは、GNUプロジェクトによって開発された、科学技術分野に特化した自由なワープロ・組版ソフトウェアです。TeXmacsは、その機能においてTeXとGNU Emacsの長所を取り入れており、ソースコードは両者から独立して書かれていますが、TeXのフォントを利用しています。このソフトウェアは、Joris van der Hoeven氏によって開発とメンテナンスが行われています。

TeXmacsの最大の魅力は、WYSIWYG（見たまま編集）のGUIで構造化された文書を作成できる点です。ユーザーは、文書のスタイルを自由に定義することも可能です。また、高品質な組版アルゴリズムとTeXフォントを活用することで、商用レベルの文書を生成することができます。

特徴

TeXmacsは、数式を扱うことに長けており、MaximaやSageMathといった多数の計算機代数システムのフロントエンドとしても利用可能です。また、Scheme言語インタプリタであるGNU Guileを使った拡張機能が用意されており、ユーザーはTeXmacsをカスタマイズしたり、機能を追加したりすることができます。

Microsoft Wordなどの一般的なWYSIWYGワープロソフトと同様に、TeXmacsでは、印刷されるイメージをディスプレイ上で確認しながら作業を進めることができます。TeXmacsの開発方針は、美しく組版された構造的に正しい文書を作成できるようにすることです。La[[TeX]]のフロントエンドではありませんが、TeXmacsで作成した文書はLa[[TeX]]やTeX形式に変換することができます。現在、HTML、MathML、XML形式のサポートも開発が進められています。

対応OSは、Linux、FreeBSD、Cygwin、macOSなどのUnix系オペレーティングシステムです。Cygwin版では、Windows環境で使用できるネイティブ版のベータ版が提供されています。

さらに、TeXmacsはプレゼンテーションソフトウェアとしての機能も備えており、将来はスプレッドシートや描画機能を含むオフィススイートとしての統合も視野に入れています。

日本語対応

以前のバージョン（1.99.10以前）でも、メニュー表示やIPAフォントの別途インストールにより日本語入力が可能でしたが、数式を綺麗に表示するには毎回フォントの変更が必要でした。しかし、バージョン1.99.11以降では、日本語入力表示と数式表示が手間なく、より自然にできるようになりました。

サポートするソフトウェア

TeXmacsは、以下のソフトウェアをバックエンドとして利用できます。

プログラミング言語: CLISP、CMUCL、Python、Qcl、R、シェル
計算機代数ソフトウェア: Axiom、Giac、Macaulay 2、Mathematica、Maxima、MuPAD、PARI/GP、REDUCE、Yacas
行列計算: MATLAB、GNU Octave、Scilab
プロット描画プログラム: gnuplot、Graphviz、XYpic、Mathemagix
その他: DraTeX、Eukleides、GTybalt、Lush

関連項目

TeX
La[[TeX]]
GNU Emacs
LyX
ワードプロセッサ

外部リンク

* GNU TeXmacsホームページ

もう一度検索