GREAT PRETENDER

GREAT PRETENDER（グレートプリテンダー）

『GREAT PRETENDER』（グレートプリテンダー）は、WIT STUDIOが制作したオリジナルテレビアニメ作品です。2020年6月からNetflixで先行配信され、同年7月から12月にかけてフジテレビ「+Ultra」枠で放送されました。2024年2月23日からは、続編となる『GREAT PRETENDER razbliuto』（グレートプリテンダー ラズブリウト）がDMM TVで独占配信されています。

本作は、人気ドラマ『コンフィデンスマンJP』などで知られる脚本家・古沢良太が初めて手掛けたオリジナルアニメ作品であり、コンゲーム（信用詐欺）を題材としたスリリングなストーリーが展開されます。「GREAT PRETENDER」とは、直訳すると「とんでもない詐称者」という意味ですが、エンディング曲『ザ・グレート・プリテンダー』の日本語訳では、「大した役者」「かなりの食わせ者」などとも訳されています。

制作の背景

古沢良太は2012年、WIT STUDIOのプロデューサーである和田丈嗣からオリジナルアニメ制作の依頼を受けました。監督の鏑木ひろと相談を重ねる中で、詐欺師たちの物語（コンゲーム）というコンセプトが生まれていきました。古沢にとって本作は初のアニメ作品であり、テレビドラマ「コンフィデンスマンJP」よりも先に脚本を執筆しています。

1話の中で伏線を張り、回収してオチをつける構成は非常に難易度が高いため、映画のようなボリュームを持つ4つのストーリーを制作する構想となり、結果として4つの「CASE」に分かれた物語構成となりました。

メインキャラクターの素性が明かされない「コンフィデンスマンJP」とは対照的に、本作では各CASEごとにキャラクターの内面が深く掘り下げられていきます。主人公は、どこか愛嬌があり騙されやすい日本人詐欺師の枝村真人（エダマメ）。彼と対照的な存在として、才気あふれるフランス人リーダーのローラン・ティエリー、影のある中東系の少女アビゲイル・ジョーンズ（アビー）、そしてセクシーな大人の女性であるシンシア・ムーア（ポーラ）といった個性的なキャラクターが配置されています。

あらすじ

CASE1: Los Angeles Connection

詐欺師の青年・枝村真人は、得意の英語で外国人観光客から金を騙し取ろうとしますが、逆に大金30万円が入った財布をすり替えられてしまいます。財布を盗んだローランを追いかけるうちに、ロサンゼルス行きの飛行機に乗り込むことになりますが、それはローランの策略の一部でした。

ローランは、新型ドラッグ「サクラマジック」を、ハリウッドの裏社会を牛耳るマフィアの大物エディ・カッサーノに500万ドルで売り込もうとします。枝村を開発者の日本人博士に仕立て上げ、取り巻きのアビーが効果を証明。枝村はサクラマジックの「レシピ」を付け、倍の1000万ドルで独占販売契約を結びますが、カッサーノはサクラマジックの試作を要求します。窮地に陥った枝村でしたが、そこへFBI捜査官のポーラ・ディキンスたちが突入。しかし、ポーラはカッサーノの全財産1億ドルと引き換えに彼を釈放します。

実はポーラに成りすましていたのは詐欺師のシンシアであり、ローランたち信用詐欺師（コンフィデンスマン）はカッサーノの全財産を巻き上げることに成功したのです。翻弄された枝村は帰国後、交番に出頭します。

CASE2: Singapore Sky

出所した枝村は自動車整備士として働き始めます。整備工場の親方にプロペラ機の整備を教え込まれた枝村は、エアレースのチームに整備士として派遣されますが、これもまたローランの企みでした。

ローランのターゲットは、産油国の王子でエアレースプロモーターの兄サム・イブラヒムと、その弟で看板パイロットのクラーク・イブラヒム。彼らはシンガポールで八百長のエアレースを開催していました。シンシアは唯一の女性オーナーとして、アビーは唯一の女性パイロットとしてレースに出場し、サムとの駆け引きと実力でクラークとの決勝戦出場を確約させます。ローランは、昨年レース中の事故で車椅子生活となったルイスとその妻イザベルを呼び寄せ、枝村をイブラヒム兄弟の整備士として潜り込ませます。枝村は兄のサムを、ローランが作った偽の裏カジノに誘い込みます。

エアレースの裏カジノに嵌まり、250万ドルの賭け金を失ったサムは、それを取り返そうと決勝戦でクラークに2500万ドルを賭けます。アビーたちの過去を知った枝村は、アビーの代わりにルイスを搭乗させます。真剣勝負の結果、僅差でクラークが勝利。しかし、ローランは偽の中継映像や勝利者の花火の色を変えるガラスフィルムでサムを欺き、賭け金全額を奪い取ることに成功します。

CASE3: Snow of London

枝村はローランの紹介で、フランスの中国人経営の寿司屋で働き始めます。枝村はコンフィデンスマンの仲間を集め、下宿に飾ってあった絵画を2万5千ユーロで、以前クレームをつけた男に売りつけますが、その絵は長らく行方不明になっていた幻の名画「ロンドンの雪」でした。購入したのは美術鑑定士のジェームズ・コールマン。シンシアはコールマンを破滅させようと宣言します。

ローランは闇美術商になりすまし、コールマンのオークションで「ロンドンの雪」を落札。この絵の贋作をコールマンに買い戻させる計画を進めます。枝村はシンシアの元恋人トーマス・メイヤーに贋作を依頼。ローラン主催の闇オークションでコールマンはシンシアと競り合い、「ロンドンの雪」を1億ポンドで落札しますが、アビーがコールマンのパトロン兼恋人のファラ・ブラウンにコールマンの正体を暴露。ファラに絶縁されたコールマンは絵と引き換えに全財産を失います。

CASE4: Wizard of Far East

枝村はローランたちと決別し、日本で会社員として真面目に働き始めます。しかし、入社したスカーレット商会は朱雀アケミ率いる犯罪組織『朱雀連合会』のフロント企業で、アジア諸国で児童人身売買を行っていました。枝村はまたもやローランの企みによって、悪徳企業に入社させられたのでした。

ローラン一味はアビーをUAE王族のプリンセスとして10億円で売りつけ、脱走させる計画を実行しますが、枝村が他の買われた子供たちも逃がそうとして失敗。上海の犯罪組織「龍虎幇（ロンフーバン）」の幹部が来日し、通訳のオズは枝村の父親でした。枝村はオズを引き入れ、再び子供たちと脱走を図りますが、オズの密告によってアビーとシンシアは海に沈められ、枝村は自らオズを始末させられます。ショックを受けた枝村は一転してアケミの忠実な側近となります。

枝村の前に死んだはずのオズが現れ、ローランと龍虎幇の関わりを説明します。ローランはかつての恋人でコンフィデンスマンのドロシーを、龍虎幇相手の詐欺で失っていたのでした。枝村はしぶしぶオズとローランたちの計画に加わります。

アケミと龍虎幇のボス・劉 暁のテレビ会談で、枝村とオズは間違った通訳を続け、お互いがお金を用意することになります。龍虎幇が来日しアケミと対面。金と有価証券を出し合ったところで、警察に扮したシンシアたちが踏み込みます。そこへカッサーノたちも乱入し、銃撃戦になります。残されたアケミたちは無人島に置き去りにされたことに気付きます。

オズと枝村はそれぞれの幹部を薬で眠らせ、ローランが作ったハリボテの会長室に運び、金を騙し取る計画でしたが、枝村は偽の銃撃戦を仕掛けてローランを騙したのでした。祝杯をあげたコンフィデンスマンたちは解散し、ローランは新たな仕事に動き出すのでした。

登場人物

枝村 真人（えだむら まこと） / エダマメ

声 - 小林千晃

主人公。自称・日本一の天才詐欺師。真面目でお人好しな性格で、ローランにいつも翻弄される。英語が得意。

ローラン・ティエリー（Laurent Thierry）

声 - 諏訪部順一

金髪のフランス人信用詐欺師（コンフィデンスマン）。マルチリンガルで、常に冷静沈着。枝村を「エダマメ」と呼ぶ。

アビゲイル・ジョーンズ / アビー（Abigail Jones）

声 - 藤原夏海

信用詐欺師（コンフィデンスウーマン）。小柄で運動能力が高い。過去に少年兵として戦っていた経験を持つ。

シンシア・ムーア（Cynthia Moore）

声 - 園崎未恵

信用詐欺師（コンフィデンスウーマン）。美貌と演技力で男性を手玉に取る。過去には舞台女優を目指していた。

工藤（くどう）

声 - 多田野曜平

枝村の相棒。元は枝村が就職した会社の社長。詐欺の常習犯。

キム・シウォン

声 - くじら

ローランに協力する信用詐欺師（コンフィデンスウーマン）。様々な役柄を演じる。

オズ / 尾崎誠司（おざきせいじ）

声 - 咲野俊介

枝村の父親。敏腕弁護士だったが、児童人身売買に関与し服役。ローランの過去の仲間の一人。

各CASEの主な登場人物

CASE1: Los Angeles Connection

エディ・カッサーノ（声 - 斧アツシ）：ハリウッドの裏社会を牛耳るマフィアのボス。
サラザール（声 - 竹内良太）：カッサーノの部下で元ギャングのボス。
アンダーソン警部（声 - 谷昌樹）：カッサーノに買収されているロス市警の警部。

CASE2: Singapore Sky

サム・イブラヒム（声 - 小松史法）：産油国の王子でエアレースのオーナー兼プロモーター。
クラーク・イブラヒム（声 - 小林親弘）：サムの弟で、エアレースの看板パイロット。
ルイス・ミューラー（声 - 乃村健次）：元エアレーサーで、事故により車椅子生活を送っている。
イザベル・ミューラー（声 - 佐古真弓）：ルイスの妻。

CASE3: Snow of London

ジェームス・コールマン（声 - 安原義人）：世界的に有名な美術鑑定士。
セバスチャン：フランスでレストランを経営する男性。
マリー：セバスチャンの娘。
ファラ・ブラウン（声 - 本田貴子）：ファッションメーカーの社長で、コールマンのパトロン。
ティム：ファラに仕える執事。
トーマス・メイヤー（声 - 平川大輔）：売れない画家でシンシアの元恋人。

CASE4: Wizard of Far East

朱雀アケミ（声 - 高島雅羅）：犯罪組織朱雀連合会会長。
石神（声 - 関智一）：スカーレット商会の社長。
劉 暁（声 - 阪口周平）：上海マフィア「龍虎幇（ロンフーバン）」のボス。
陳 堯（声 - 最上嗣生）：龍虎幇の幹部で、劉の右腕。
ドロシー（声 - 小松由佳）：ローランの過去の恋人でコンフィデンスレディ。
シャンシャン (声 - 小松由佳) : 最終話に登場する記憶喪失の女性
五十嵐（声 - 小手伸也）：ローランと手を組んだ信用詐欺師。ドラマ『コンフィデンスマンJP』からのコラボ出演。

楽曲

オープニングテーマ:「G.P.」（作曲: やまだ豊）
エンディングテーマ:「The Great Pretender」（作詞・作曲: バック・ラム、歌: フレディ・マーキュリー）

エンディングアニメは、フレディ・マーキュリーのミュージックビデオを模した演出で、フレディやコーラスの人物らが猫として描かれています。

放送・配信情報

Netflixにて2020年6月2日より先行配信
日本国外ではNetflix Originalとして配信

メディア展開

Blu-ray
漫画: 円井大地による漫画版が『MAGCOMI』および『LINEマンガ』にて連載（連載終了）
* 舞台: 音楽劇「GREAT PRETENDER グレートプリテンダー」が2021年7月-8月に上演

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