GUITARHYTHM II

GUITARHYTHM II：魂の旅と新たな境地

布袋寅泰の2枚目のソロアルバム『GUITARHYTHM II』は、1991年、COMPLEXの無期限活動休止後のソロ活動における重要な作品であり、彼の音楽的進化を象徴する一枚です。前作『GUITARHYTHM』が海外進出を視野に入れた作品だったのに対し、『GUITARHYTHM II』は、日本のロックファンに向けた、日本語詞を主体としたアルバムとして制作されました。この方向転換は、COMPLEX活動休止発表直後のインタビューですでに示唆されており、彼の強い意志が感じられます。

制作：ロンドンでの孤独と創造

アルバム制作のため、布袋はCOMPLEXのラストライブ翌日には渡英。ロンドンで生活を送りながら、約1ヶ月で全楽曲のデモを完成させました。この期間、彼は一人きりで楽曲制作に没頭し、重厚で深みのあるサウンドを構築。この経験は、後のソロ活動に大きな自信をもたらすことになります。アルバムのコンセプトは「時空を超えた魂の旅」。魂が時空を彷徨い、様々な経験を経て成長していく壮大なストーリーが、楽曲に反映されています。「天使と悪魔」という対照的なキーワードが、歌詞にも繰り返し登場し、作品に深みを与えています。また、制作期間中に勃発した湾岸戦争も、彼の創作活動に影響を与えたと考えられます。

音楽性：バンドとの協奏と進化

『GUITARHYTHM II』は、前作とは大きく異なる音楽性で注目を集めました。デヴィッド・ボウイもその変化を高く評価しており、「IとIIの違いは大きい。スタイル的にかなり大きく変わった」とコメント。布袋自身も、サポートメンバーを固定したことで、音楽性が大きく変化したと語っています。このアルバムでは、様々なミュージシャンが参加し、ソロ活動における布袋の新たな可能性を示すことになりました。特に、共同プロデューサーの藤井丈司との協働は、アルバム制作に大きな影響を与え、布袋は藤井の貢献を高く評価しています。

レコーディング：ロンドンと日本のスタジオでの作業

レコーディングは、ロンドンのメトロポリス・スタジオをメインに、湾岸戦争の影響で一時帰国した際には日本のスタジオでも行われました。最新の機材を用いて、24トラックのアナログ機材で制作された本作は、洗練されたサウンドと、力強い演奏が特徴です。エンジニアのマイケル・ツィマリングを始め、多くのスタッフが、アルバム制作に貢献しています。

リリースとツアー：大反響と成長

『GUITARHYTHM II』は、1991年8月30日に4枚組LPレコードが先行リリースされ、9月27日にCDとカセットテープが正式リリースされました。初回限定盤はベルベットボックス仕様のピクチャーCDで、様々な特典も用意されました。リリースに先立ち、「GUITARHYTHM NIGHT」と題した特別番組も放送され、注目を集めました。

続く全国ツアー『GUITARHYTHM ACTIVE FLY INTO YOUR DREAM』は、23都市33公演の大規模なもので、ロンドン公演も含まれていました。このツアーで固定されたバンドメンバーは、後の活動にも大きく貢献します。ツアーファイナルは日本武道館4DAYSという成功を収め、ライブ・アルバムとライブビデオもリリースされました。ツアー中、布袋はジーザス・ジョーンズのマイク・エドワーズと出会い、今後の活動にも繋がります。

反響とその後：確固たる自信と新たな方向性

アルバムとツアーに対するファンの反応は、100％満足のいくものではなかったと布袋自身は語っていますが、この経験は彼にとって大きな自信へと繋がりました。初の全国ツアーを通して、彼はライブを意識した音楽性へとシフトし、以降の作品に大きな影響を与えていきます。

収録曲：多様な音楽性

『GUITARHYTHM II』には、バラエティに富んだ楽曲が収録されています。ゴスペル調のオープニング曲「GUITARHYTHM REPRISE」から、森雪之丞が初めて作詞に参加した「SLOW MOTION」、山下久美子がボーカルで参加した「ROCK'N'ROSE」、そしてデヴィッド・ボウイのカバー曲「STARMAN」まで、彼の幅広い音楽性が凝縮されています。インストゥルメンタル曲や、力強いロックナンバー、繊細なバラードなど、様々な楽曲が、アルバムのコンセプトを効果的に彩っています。

まとめ：ソロアーティストとしての成熟

『GUITARHYTHM II』は、布袋寅泰にとって、COMPLEXからの脱却とソロアーティストとしての確立を示す重要な作品です。ロンドンでの制作、様々なミュージシャンとのコラボレーション、そして全国ツアーという経験を通して、彼は自身の音楽性と表現力を大きく進化させました。このアルバムは、彼のソロキャリアにおける一つの到達点であり、同時に新たな出発点となったと言えるでしょう。

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