HAT-P-11

HAT-P-11: はくちょう座のK型恒星

HAT-P-11は、約120光年離れたはくちょう座の方向に位置する恒星で、視等級は10等級です。この恒星は、太陽と比較すると一回り小さく、K4V型のスペクトル分類に属するK型主系列星です。光度は太陽の約4分の1程度であり、その性質からは、さまざまな天文研究において重要な対象となっています。

HAT-P-11の特徴

この星は橙色の恒星で、質量は太陽の約81%、半径は約68%です。また、表面温度は太陽に比べて約1,000K低くなっています。しかし、興味深いことに、金属量は太陽の約2倍であり、重元素が豊富な恒星とされています。恒星の年齢については、65億年と推定されていますが、この値には大きな誤差が含まれており、12.5億年という別の推定も存在しています。

HAT-P-11は、周期29.2日の小さい変光も見つかっており、その振幅は0.0062等級です。この変光については、誤認の可能性を考慮して再検証が行われましたが、否定できる証拠は見当たりませんでした。もし変光が事実であれば、恒星表面の黒点が回転により見え隠れすることが原因と考えられています。また、この恒星の周囲には、活発な恒星活動が見られる緯度があることも知られています。

惑星系の発見

2009年、HATネット計画によるトランジット法の観測で、HAT-P-11を公転する惑星HAT-P-11bが発見されました。この惑星は、恒星に非常に近い距離を持ち、わずか4.9日で回る海王星に似た質量を有しています。食の減光の観測から、HAT-P-11bの半径は海王星より少し大きいことがわかっています。また、HAT-P-11はケプラー宇宙望遠鏡の観測対象でもあり、HAT-P-11は「ケプラー3」、HAT-P-11bは「ケプラー3b」という別名が付けられています。

さらに、2018年にはHAT-P-11を公転する第2の惑星HAT-P-11cが確認されました。HAT-P-11bとは異なり、この惑星はドップラー分光法で発見され、物理的な特性はあまり明確ではありませんが、下限質量が示されています。HAT-P-11cは離心率が0.601と高く、軌道は歪んでおり、近接点では1.67 au、遠方では6.61 auに達します。

まとめ

HAT-P-11は、その小ささと変光性、そしてその周囲の惑星系により、現代天文学において重要な役割を果たす天体です。数多くの研究や観測プロジェクトがこの星に焦点を当てており、未来の観測によってさらなる発見が期待されています。

このように、HAT-P-11は宇宙の理解に貢献する一つの要素として、今後も注目され続けることでしょう。

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