Mac OS X v10.6

Mac OS X v10.6 Snow Leopard

Mac OS X v10.6 Snow Leopard（スノーレパード）は、Appleが開発・販売したMac OS Xの7番目のバージョンです。バージョンナンバーは10.6で、コードネームは「Snow Leopard」です。前バージョンであるMac OS X v10.5（Leopard）の後継として、2009年8月28日に発売されました。

概要

2008年6月のWWDC 2008で初めて発表され、このバージョンからIntelベースのMac専用となり、PowerPCベースのMacでは動作しなくなりました。Intelベース機に特化することで、新機能よりもパフォーマンスと安定性の向上に重点が置かれ、システム全体がよりコンパクトになりました。

Snow Leopardは、Mac OS X v10.5 Leopardからのアップグレードとして、シングルユーザライセンスは米国で29ドル、日本では3300円で販売されました。また、5人までが使えるファミリーパックは5600円で販売されました。さらに、2009年8月28日以降に発売された全てのMacには標準搭載されました。

IntelベースのMacでMac OS X v10.4を使用していたユーザー向けには、Mac OS X v10.6.3 Snow Leopard、iLife ’11、iWork ’09がセットになったMac Box Setが12800円で、ファミリーパックが17800円で提供されました。

DVDインストールディスクでの販売形態は、このバージョンが最後となり、次バージョンであるMac OS X LionからはMac App Storeでのダウンロードによる販売に移行しました。

また、ガンマ値がそれまでのMacの標準だった1.8から2.2に変更されました。

対応環境とシステム条件

Intelプロセッサ
内蔵または外付けのDVDドライブ、またはDVD/CD共有
1GB以上のRAM（RAMの追加を推奨）
内蔵ディスプレイまたはコンピュータに対応するApple提供のビデオカードに接続されたディスプレイ
5GB以上の空きディスク容量（デベロッパツールをインストールする場合は7GB以上）

新機能

インストール時に必要なHDDの容量がLeopardに比べて削減され、インストール時間も高速化されました。

DockとExposé: Exposéのアプリケーション単位のウィンドウ一覧表示が、Dockアイコンのクリックで切り替え可能になりました。また、Dockからサブフォルダの深い階層に直接アクセスできるようになり、ウィンドウを最小化してDockのアプリケーションアイコンに格納するオプションが追加されました。
サービスメニュー: メニューをプルダウンした時に、利用可能なサービスだけが表示されるようになり、項目ごとにシステム環境設定で表示/非表示を選択できるようになりました。
「開く/保存」ダイアログ: Quick Lookが利用できるようになりました。

付属アプリケーション

Finder: Cocoaで再構築され、表示と処理速度が向上しました。アイコンサイズを変更するスライダーが追加され、アイコンを最大512x512ピクセルで表示できます。UTIがファイルとアプリケーションの関連付け判定に標準で用いられるようになり、Finder情報に保存されている情報のうち、ファイルタイプは考慮されるものの、クリエータの方は無視されるようになりました。
Safari: JavaScriptの実装が大幅に高速化され、Safari 3と比較してパフォーマンスが53%向上しました。プラグインは個別プロセスとして実行されるため、プラグインがクラッシュしてもブラウザ全体が落ちることはなくなりました。
プレビュー: 新しい一覧表示機能である「コンタクトシート」モードが追加され、注釈機能が強化されました。表示速度が向上し、JPEG画像を開く速度は約2倍、PDFは約1.5倍速くなっています。
QuickTime Player: デザインが一新され、アプリケーション内でビデオの録画や簡単な編集が可能になり、YouTubeやMobileMeに投稿できるようになりました。
Microsoft Exchange 2007のネイティブサポート: Mail、iCal、アドレスブックが対応しました。
Automator: サービスメニューが作成可能になり、実行速度が大幅に向上しました。
Mac App Store: Mac OS X v10.6.6から追加されたアプリケーションで、Apple IDがあれば、iPhoneやiPadのようにアプリの購入と自動アップデートが利用できます。

テクノロジー

Grand Central Dispatch: 並行計算プログラミング技術が導入されました。C、C++、Objective-C言語に特殊なブロック記述を拡張し、ブロックのキューイングによる並行計算を行います。システムで管理されたスレッドで実行されるため、アプリケーションコードによるスレッド管理が軽減され、最適化が自動的に施されます。
OpenCL (Open Compute Language): GPUなどを利用した並列コンピューティングのためのオープン標準フレームワークです。対応するGPUの計算能力をグラフィック表示以外の計算用途で利用できます（GPGPU）。
64ビット: 物理メモリ（RAM）容量の限界が最大16TBに向上しました。ほとんどのシステム付属アプリケーションが64ビットアーキテクチャに対応しました。クライアント版では、32ビットカーネル上で64ビットと32ビットのドライバとアプリケーションが同時に動作可能です。起動時に64ビットカーネルを選択できますが、この場合、32ビットのカーネル機能拡張（KEXT）は使用できません。サーバー版では、64ビットカーネルがデフォルトとなっています。
Time Machine: バックアップ速度が大幅に高速化され、Time Capsuleへの最初のバックアップにかかる時間が最大80%短縮されました。
QuickTime X: iOSのメディアテクノロジーを利用し、モダンなオーディオとビデオフォーマットのサポートを最適化します。
VoiceOver: 視覚に障害のあるユーザーのための技術で、トラックパッドをスクリーンのように一本の指でなぞることで、ウィンドウやデスクトップの各部分を耳で確認しながら操作できるようになりました。

セキュリティ

バッファオーバーフロー耐性の強化: メモリスタック保護がデフォルトでオンになり、XDビットのサポートが拡張され、ヒープのチェックサムが強化されました。
マルウェア検出機能: ダウンロードしたディスクイメージにトロイの木馬が含まれているのを検出し、警告メッセージを表示します。
exFATサポート: Mac OS X v10.6.5でサポートされました。2010年以降発売モデルのMacでは、SDXCメモリーカードなど、32GB以上のフラッシュメモリーカードが利用できるようになりました。

廃止された機能

InputManager: セキュリティ上の理由から廃止され、これを利用するプラグインやユーティリティは動作しなくなりました。
AppleTalk: Mac OS X v10.4から徐々に機能が縮小していましたが、このバージョンで完全にサポートが終了しました。この機能を利用する周辺機器などは使用できません。
その他、HFSフォーマットでの起動だけでなく、書き込みやボリューム作成もできなくなりました（読み込みのみ可能）。

バージョン履歴

Mac OS X v10.6.0 (build 10A432)、2009年8月28日 (パッケージ版製品あり)
Mac OS X v10.6.1 (build 10B504)、2009年9月12日
Mac OS X v10.6.2 (build 10C540)、2009年11月9日
Mac OS X v10.6.3 (build 10D573)、2010年3月29日 (パッケージ版製品あり)
Mac OS X v10.6.3 v1.1 (build 10D578)、2010年4月12日
Mac OS X v10.6.4 (build 10F569)、2010年6月15日
Mac OS X v10.6.5 (build 10H574)、2010年11月18日
Mac OS X v10.6.6 (build 10J567)、2011年1月6日
Mac OS X v10.6.7 (build 10J869)、2011年3月21日
* Mac OS X v10.6.8 (build 10K540)、2011年6月23日

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